秋の果物として知られているぶどうですが、いつから食べられるようになったのでしょうか。
また、ぶどうは漢字で書くと葡萄ですが「えび」とも読みます。
なぜなのか気になります。
ぶどうの歴史や葡萄の語源などをまとめてみましたのでご紹介します。
ぶどうはいつから食べられている?葡萄の歴史は
紀元前3000年頃から、原産地であるコーカサス地方やカスピ海沿岸でヨーロッパブドウの栽培が行われていました。
古代ギリシアでは、ワインを作るためのぶどう栽培が行われ、各地にぶどう園が開設されるようになりました。
11~13世紀頃は気候が温暖になったことから、イングランドをはじめとする北方の国でもぶどう栽培が盛んになりました。
しかし14世紀頃から、気候が寒冷になったことで輸送費が下落し、そのためぶどう栽培の地域は南方に限られるようになりました。
大航海時代、ヨーロッパ人が世界各地で植民するようになると入植先でぶどう栽培を始めました。
南アフリカ共和国のケープ州やチリなどで、ぶどう栽培が成功したことでワインの名産地となりました。
日本にぶどうが入ってきたのは奈良時代で、シルクロードを経て唐から伝わってきたといわれています。
718年、高僧・行基が甲斐国勝沼(現在の山梨県甲州市)にある尾山大善寺に薬種園を解説し、ぶどう栽培を始めました。
明治時代になると政府の奨励もあったことから、ワインを作り始めました。
しかし、ワインが日本人の口に合わなかったため生産量が増えることはありませんでした。
第2次世界大戦中、電波探知機に使われているロッシェル塩の材料となる酒石酸(しゅせきさん)が取れることからワインを多く作るようになりました。
終戦後、洋食が広まったことで、ワインの生産量が増えていきました。
葡萄の名前の語源
ぶどうはギリシア語の「Botrus」で呼ばれていましたが、中国に伝わったときに音訳で「葡萄」となり日本へ伝わりました。
また、中央アジアのフェルガナ地方(現在のキルギスタン・ウズベキスタン)の言語でぶどうを意味する「budaw」を音訳したという説もあります。
ぶどうの漢字葡萄はえびと読む?漢字の覚え方
葡萄は「ぶどう」と読みますが、「えび」とも読みます。
山に自生している山ぶどうの古名は「エビカズラ」で、普段はぶどうのことを「えび」と読んでいたことから漢字の葡萄は「えび」とも読んでいます。
葡萄色(えびいろ)とは
葡萄色とは、山ぶどうの熟した実のような暗い赤紫色、または渋くて薄い紅色のことをいいます。
平安時代に誕生した色で、宮廷の女官たちに好まれていました。
枕草子には、「女の表着は薄色、葡萄染、萌黄、桜、紅梅、すべて薄色の類(たぐい)」という内容が書かれています。
葡萄色の色域は広く、暗い色から明るい色までが含まれていましたが、現在では暗めの色のことをいいます。
685年に定められた「四十八階制」では、深葡萄色は正位から4番目の追位の色、浅葡萄色は5番目の進位の色となっています。
また明治時代の女学生たちに流行した海老茶という黒みを帯びた赤茶色があります。
「えび」という音の響きで海老茶を連想しやすいため、段々と葡萄色はぶどうを連想されるようになってきました。
葡萄色に合う色
葡萄色に合う色の1つに威光茶(いこうちゃ)があります。
威光茶とは、茶色味のある黄緑色のことです。
赤紫の葡萄色とは合わないように思えますが、組み合わせることで紫色の派手さを抑え、落ち着いた大人の雰囲気を出すことができます。
植物の若芽を思わせる若芽色と呼ばれている黄緑色も葡萄色に合います。
葡萄色より薄い赤紫色の紅藤と若芽色を組み合わせると柔らかい雰囲気を出すことができます。
葡萄の覚え方
葡萄という漢字をバラバラにすると、「艹」・「勹」・「甫」と「艹」・「勹」・「缶」となります。「艹」はカタカナの「サ」、「勹」はカタカナの「ク」、「甫」は漢字の「浦」、「缶」はそのまま漢字の「缶」と読み替えます。
これらを語呂合わせで「サクサク浦和で缶拾い」と覚えておくと、葡萄をイメージしやすくなります。
葡萄の歴史と語源 さいごに
ぶどうは紀元前3000年頃から、日本では奈良時代から栽培されていました。
現在日本では、約100種類以上のぶどうが栽培され、味を楽しむことができます。
漢字では葡萄と書きますが、「えび」と読めるのは知りませんでしたが、山ぶどうの古名が「エビカズラ」だったことが語源になっていたことで納得できたのではないでしょうか。
葡萄という漢字は書くのは難しそうですが、語呂合わせで覚えておくと書きやすいと思います。
ぶどうを漢字で書けるようにしてみてはいかがでしょうか。