衣類には様々な生地が使われています。
生地は大きく分けて編み物(ニット)と織物(テキスタイル)の2つに分けられるそうです。
今回は織物とはどんな物なのか、定義はあるのか?また、日本の織物の発祥や歴史を調べてみました。
そして日本の織物の種類などを紹介します。
織物とは?
織物とは、縦糸と横糸が垂直に交差して平面状になっている生地のことをいいます。
縦糸と横糸の交差するパターンを織組織(おりそしき)と呼び、ほとんどの織物は基本的な組織である三原組織(さんげんそしき)からできています。
● 三原組織(さんげんそしき)
織物の基本となる三原組織には、平織(ひらおり)・綾織(あやおり)・朱子織(しゅすおり)があります。
・ 平織(ひらおり)
最も基本的な組織で「プレーン」とも呼ばれていて、縦糸と横糸が交互に浮き沈みをするため交差することはありません。
糸の浮く量が少ないため摩擦に強く、鋭利な物に引っかかっても糸が引き出されにくいという特徴があります。
・ 綾織(あやおり)
斜めに綾目(あやめ)と呼ばれる模様が浮き出る組織で、「ツイル」とも呼ばれています。
糸の浮く量が少ないため丈夫です。織り方によって綾目の角度や方向を変えることができます。
・ 朱子織(しゅすおり)
縦糸と横糸が交差する点が目立ちにくい組織で、「サテン」とも呼ばれています。
糸が飛んで組織されているため、糸の質感・色が直接織物になりやすいという特徴があります。
日本の織物の発祥と歴史
日本の織物がいつ始まったのかは未だにハッキリしていませんが、縄文時時代後期から弥生時代には機織り機を使って織物を作っていたようです。
奈良時代になると、海外から様々な技術が伝わってきたことで品質の良い絹織物が作られるようになりました。
絹織物は、上流階級人たちしか使うことができなかったようです。
平安時代では織り文様が発達し、日本独自の文様が誕生したといわれています。
江戸時代になると絹の材料である繭(まゆ)を作る蚕(かいこ)の飼育が進められたことで、日本全国各地で絹織物が発展していきました。
絹織物は金持ちの商人が着るようになりましたが、絹の価値が低くなるからという理由で貴族・武士以外の人たちが着ることを禁じられてしまいました。なので、庶民たちが着る着物は麻や綿の織物が使われていたそうです。
明治時代になると海外から大きな織機が輸入されたことで、工業化されました。
現在ではコンピューター化や世界各国の技術が取り入れられたことで、織物は日本独自の物だけでなく、新しい技術を使った織物も作られています。
しかし、今でも手織り機を使った昔ながらの織物を作り続けている職人もいます。
織物の種類と代表的な日本の織物
織物の種類
日本の織物は絹織物・綿織物・麻織物の3種類があります。
・ 絹織物
光沢としなやかな手触りのある日本伝統の織物で、高級品として扱われています。蚕がつくる繭を原料とした天然繊維であるため、膨大な手間と時間がかかります。
・ 綿織物
綿花を原料とした天然繊維の綿糸で作られた織物で、柔らかい・吸湿性に優れているという特徴があります。
・ 麻織物
麻の茎を原料とした天然繊維で作られた織物です。丈夫で紫外線対策に優れているため、夏の衣類に適しています。
● 代表的な日本織物
人気のある代表的な日本織物をいくつか紹介します。
・ 西陣織(にしじんおり)
京都市街の北西部で作られている織物です。
西陣は京都の西北部にあたる地域の名称で、織物業者が製造する織物を西陣織と呼んでいます。
紗(しゃ)、または羅(ら)と呼ばれる透かし生地や二重構造の通風などと織り方の種類が豊富にあります。
・ 結城紬(ゆうきつむぎ)
茨城県と栃木県にまたがる鬼怒川(きぬがわ)流域で作られている絹織物です。
蚕の繭を煮てから広げた真綿(まわた)は、空気をたくさん含んでいる心地よく優しい素材となっています。
・ 牛首紬(うしくびつむぎ)
石川県白山市で作られている絹織物で、1988年に国の伝統工芸品に指定されています。
糸作りから製織(せいしょく)までの作業ほとんどが手作業となっています。耐久性に優れていて、通気性・肌触りが良い・美しい光沢があるので着物や帯・和装小物に使われています。
織物とは?歴史や発祥 さいごに
織物は縦糸と横糸を交差させて作る生地のことで、日本には多くの織物があります。
いろんな織物に触れてみてはいかがでしょうか。