記憶とは物事を忘れずに覚えておくことをいいますが、記憶にはいくつかの分類と種類があるといわれています。
記憶の分類や種類ってどんなものがあるのでしょう。
最近知人と会話をしていると顔はわかるが名前がでてこない、物忘れがひどくなった、なんて話がよくでてきます。
気になる物忘れと痴呆との違いや判断方法などを調べてみました。
記憶とは分類すると2種類
記憶とは今まで見た・聞いた・体験したなどで覚えたことをいいます。
記憶は保持時間と内容によって大きく2種類に分類されています。
保持時間の記憶では学術領域によって分けられ、内容による記憶では陳述記憶と非陳述記憶に分けられます。
記憶の種類と特徴
保持時間と内容によって分類された記憶の種類と特徴にはどんなものがあるのでしょうか。
保持時間による記憶
学術領域によって種類名が同じでも用語や意味合いが違ってきます。
【心理学領域】
記憶の保持時間の長さに基づき、感覚記憶・短期記憶・長期記憶があります。
感覚記憶
保持時間が最も短い記憶です。
各感覚器官に特有に存在していて、瞬間的に保持されるだけで意識されていません。
外界から入力された刺激情報は、最初に感覚記憶として保持され、その中から注意を向けられた情報だけが短期記憶として保持されます。
短期記憶
保持時間が数十秒程度の記憶です。
保持時間だけでなく、1度に保持される情報容量の大きさにも限界があるといわれています。
長期記憶
保持時間が1番長い記憶です。
短期記憶の情報の多くは忘却され、1部が長期記憶として保持されます。
保持された情報が長期記憶として安定化する過程のことを記憶の固定化と呼ばれているそうですよ。
短期記憶と違い、容量の大きさに制限はありません。
【生理学領域】
保持時間が数分間から数時間が短期記憶、保持時間が数日間から数週間以上が長期記憶となります。
また記憶の固定化を重視し固定されない場合は短期記憶、固定化された場合は長期記憶であると考えられています。
【臨床神経学領域】
即時記憶・近時記憶・遠隔記憶があります。
即時記憶
電話番号など覚えた数字をすぐに思い出すことのできる記憶のことをいいます
近時記憶
即時記憶より保持時間の長い記憶です。
保持時間の長さには明確な定義はなく、情報の記憶から思い出すまでの間に干渉が介在されるため、保持している情報が一旦意識から消えることが特徴となっています。
臨床場面では前夜の食事内容を尋ねる、または単語の遅延再生などで評価しています。
遠隔記憶
近時記憶よりも保持時間が長い記憶で、保持時間は約数十年といわれています。臨床場面では個人の生活に関することを訪ねることが多いです。
内容による記憶
内容による記憶には陳述記憶と非陳述記憶があり、陳述記憶は意識上でイメージや言語として内容を思い出し口頭で述べることができ、非陳述記憶は意識上に内容を思い出すことができないため口答で述べることができません。
【陳述記憶】
陳述記憶にはエピソード記憶と意味記憶があります。
エピソード記憶
人が経験した出来事に関する記憶です。
その出来事を経験そのものと、それを経験した時の時間や身体的・心理状態など様々な付随情報が一緒に記憶されているという特徴があります。
意味記憶
言語と意味または概念、知覚対象の意味や対象との関係・社会的約束など世の中に関する組織化された記憶です。
同じような経験の繰り返しによって形成され、その情報をいつ・どこで獲得したなどの付随情報は消失し、内容だけが記憶されたものであると考えられています。
【非陳述記憶】
非陳述記憶には手続記憶とプライミングがあります。
手続記憶
同じ経験を反復することで形成される記憶です。
記憶が一旦形成されると自動的に機能し、長期間保持されるという特徴があります。
自転車乗り方やパズルの解き方などがあります。
プライミング
前に入力した情報が、あとの情報に影響を与えるような記憶で入れ知恵記憶とも呼ばれています。
物忘れと痴呆の違いとは?判断する方法は
人の名前や操作方法が思い出せないことがあると、痴呆を疑うことがあるのではないでしょうか。
しかし偶発的または加齢による物忘れという可能性があります。
物忘れと痴呆との違い
物忘れの場合は物忘れを自覚している・体験したことの一部を忘れている・ヒントがあれば思い出す・日常生活に支障はなく、判断力は低下していません。
痴呆の場合は物忘れを自覚していない・体験したことそのものを忘れている・ヒントがあっても思い出せない・日常生活に支障が出て、判断力は低下しています。
物忘れ、または痴呆かを判断する方法
以下の状態がある場合は痴呆の可能性があります。
同じことを繰り返し話す
直前に話した内容を記憶することが難しくなり、同じ内容を繰り返して話すようになります。
食事したことを忘れる
「ご飯はまだ?」と聞いてきても「さっき食べたよ」と返答して納得して貰えたら問題ありませんが、納得してない様子であれば気をつけてください。
自力で帰宅できない
自宅の場所が分からなくなり外出先から帰宅できなくなっている場合は、痴呆(認知症)を発症している確率が高いです。
部屋を散らかす
片付けた場所を思い出せないため、探し物を始めると部屋の隅々を探すようなります。
目当ての物を見つけるまで不安な気持ちでいるため、散らかしても片付けるという余裕はありません。
記憶とは? さいごに
記憶には様々な種類があり、情報が整理されていきます。
記憶は生活するためになくてならない物なので、筋力トレーニングや脳を使うゲームなどで痴呆にならないように予防してみませんか。