風が吹くたびにチリンチリンと涼しげな音を鳴らす夏の風物詩風鈴。
風鈴ときくと夏を思い浮かべるようになったのはいつごろからなのでしょう?
風鈴のできたわけが知りたくて調べていたら、元は占いの道具として使われていたというんですね。
そんな占いの道具がなぜ夏の風物詩になったのか?
風鈴の歴史や種類などご紹介したいと思います。
目次
風鈴とは?風鈴の歴史
風鈴はガラスや金属などの素材で作られた鐘の「外見」
音を出すために外見の中に取り付けられている「舌」
吹く風を受け止めるための「短冊」の3の部品によって構成されています。
風鈴は短冊で風を受けることで舌が揺れて、外見に当たることで音が出ます。
外見の素材によって音色は変わってきますが、涼しげな心地よい音が特徴ですね。
この涼しげな音が涼を感じさせ、昔は夏にかかせないものだったんですね。
ここでいう昔っていつのことでしょう?
風鈴の歴史を起源からみていきます。
風鈴の魔除けパワーの元は風鐸がルーツだった?!
風鈴は中国の占い道具「風鐸(ふうたく)」が起源といわれています。
風鐸とは青銅でできた鐘のようなもので、鈍く重い音が出ていたそうです。
風鐸を竹林の東西南北にそれぞれ吊り下げ、風の向き・音の鳴り方で吉凶を占う「占風鐸(せんふうたく)」に使われていました。
日本には遣唐使によって仏教文化とともに伝わりましたが、占い道具ではなく魔除け道具として使われていました。
当時日本では「強い風は流行り病・邪気などを運んでくる災いのもと」と考えられていました。
風を受けて音が鳴る風鐸を四方に吊すことによって邪気が払われ災いから守ってくれるといわれ、寺の軒先に吊されていました。
平安時代になると貴族の屋敷にも魔除けとして吊されるようになり、
「風鈴」と呼ばれるようになりました。
「風鈴」という表記は鎌倉末期に作られたとされる国宝『法然上人行状絵図』に「極楽の七重宝樹(しちじゅうほうじゅ)の風のひびきをこひ、八功徳池(はっくどくち)のなみのをとをおもひて、風鈴を愛して」とあるが、これは「ふうれい」と読む。絵図の作者が風鐸と書かずに風鈴と記したのは中世には鈴を持って踊るさまざまな田楽風流踊りが各地で流行したことが影響したとも考えられる。
江戸時代に西洋からガラス文化が伝わったことで、風鈴は青銅製だけでなくガラス製も加わりました。
でもガラスの原材料が貴重だったため、とても高価なものでした。
その後、ガラスの価格が段々と下がってきたので、庶民でも手に入るようになり、軒先に吊して風鈴の音を楽しめるようになりました。
現在では扇風機や冷房などの電化製品によって涼を得ることができるようになったため、風鈴を吊す習慣は薄れてきましたが、室内で飾るインテリアとして使われるようになったそうです。
風鈴の種類はどのくらいある?素材もいろいろ各地の風鈴
日本各地には伝統工芸や産業を用いたものやガラスや陶器など様々な素材で作られた風鈴が数多くあります。
どんなものがあるのかまとめてみました。
江戸風鈴(えどふうりん)
江戸時代から作られているガラス製の風鈴です。
型を使わずガラスを空中で膨らます宙吹き(ちゅうぶき)という技法で作られているので、一見同じ形に見えますが全て違う形、違う音色になっていることが特徴です。
大きさは小丸・中丸・大丸の3つ、形はひょうたん・しんすい・小丸・すずらんの4種類があります。
南部風鈴(なんぶふうりん)
岩手県の伝統工芸品である南部鉄器を素材にした鉄製の風鈴で、大正時代から作られています。
鐘や屋敷の屋根などをかたどったデザイン、「リーン」と長く澄んだ音が響くのが特徴です。
南部風鈴の音色には、脳内のストレスが軽減する・思考力や運動能力を司るホルモンの分泌が活性化されるといわれていて、暑気払いだけでなくリラックス効果があるそうです。
高岡風鈴(たかおかふうりん)
富山県高岡市の伝統工芸である鋳物製造技術を用いた真鍮(しんちゅう)製の風鈴です。
真鍮とは、銅と亜鉛を混ぜて作られた合金で建築資材や家具・仏具などに使われていました。
透き通った伸びのある音色と無駄のないシンプルなデザインが特徴です。
小田原風鈴(おだわらふうりん)
神奈川県小田原市で生産されている銅合金の一種である砂張(さわり)を素材にした風鈴です。
澄んだ高音が長く響き渡る音色が特徴です。
明珍火箸風鈴(みょうちんひばしふうりん)
兵庫県姫路市の伝統工芸である明珍火箸を使った風鈴です。
4本の火箸をぶら下げたデザインと鈴虫の声音のような澄んだ音色が特徴です。
別府竹風鈴(べっぷたけふうりん)
南部風鈴を手作りの竹籠に入れた風鈴で、大分県別府市で作られています。
南部風鈴を竹籠で覆うことで、南部風鈴よりも優しい音色になるそうです。
備長炭風鈴(びんちょうたんふうりん)
和歌山県の無形文化遺産である紀州備長炭を使った風鈴です。
棒状の炭がいくつかぶら下がっていて、風に揺れると綺麗な音が出ます。
炭の形がそれぞれ違うので、音の高さと響きが変わってきます。
有田焼風鈴(ありたやきふうりん)
佐賀県有田町とその周辺で作られている「有田焼」を使った風鈴です。
有田焼は焼成すると硬くて滑らかな半ガラス質になるので、高く澄んだ音色になるのが特徴です。
九谷焼風鈴(くたにやきふうりん)
石川県の伝統工芸である九谷焼で作られた風鈴です。
低音の柔らかい音色が特徴です。
風鈴の歴史 さいごに
一言で風鈴といっても、いろいろあるんですね。
素材によって色んな風鈴の音を楽しむことができますね。
好きな音色の風鈴で夏を過ごしてみませんか。
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