柿は甘柿と渋柿に分けられます。
甘柿はそのまま食べることができますが、渋柿は柿から渋味を取るという手間をかけないと食べることができません。
また渋柿を干すことで甘くなり、干し柿として食べることができます。
干し柿はいつから食べるようになったのでしょうか。
甘柿と渋柿の違いや見分け方・干し柿の歴史・干し柿の栄養などを紹介します。
甘柿と渋柿の違いとは?その見分け方は
甘柿と渋柿の違いには、柿に含まれているタンニンの性質があります。
甘柿に含まれているタンニンは不溶性、渋柿に含まれているタンニンは水溶性になります。
水溶性タンニンは口に入れた瞬間から唾液によって溶け出し成分が広がることで、渋味を感じてしまいます。
甘柿に含まれている不溶性タンニンは、口に入れても成分が溶け出すことがないので渋味を感じることはありません。
甘柿と渋柿の見分け方
甘柿と渋柿を見分ける方法として、形があります。
甘柿は四角い形、渋柿は長細く先が尖っています。
また甘柿の方が、どっしりとした重みがあります。
【主な甘柿の品種】
- 富有(ふゆう)
形は丸に近い四角形で、皮はスベスベしていて光沢があります。
- 次郎(じろう)
形は平たい四角形で浅い溝が縦に4本ついています。
- 松本早生富有(まつもとわせふゆう)
形は富有に似ていますが、皮は濃い橙色になっています。
- 伊豆(いず)
形は四角形ですが扁平になっていて、皮は熟すと濃いオレンジ色になります。
【主な渋柿の品種】
- 平核無(ひらたねなし)
形は扁平で角ばった四角形で、皮の色は橙色で光沢があります。
- 愛宕(あたご)
形は先が尖った釣り鐘形で皮の色は
先がとがった釣り鐘状をしていて、果皮は橙黄色(とうこうしょく)です。
- 四ツ溝(よつみぞ)
形は角が丸い四角形で、側面には浅い溝があります。
- 筆柿(ふでがき)
形は筆先のように長細く、小さな柿です。
干し柿の日本の歴史は甘柿より古い?
干し柿は平安時代に祭礼用のお菓子として使われていました。
当時の柿は渋柿しかなく、どうしたら美味しく食べられるかを考え、天日干しにして渋を抜く方法にたどりつきました。
干し柿は日持ちするので、非常食または嗜好品として広まっていき農家の副業として代々受け継がれています。
ちなみに甘柿は鎌倉時代に突然変異によって誕生しました。
干し柿の種類
- あんぽ柿
渋柿の皮を剥いてから、硫黄を燃すことで発生した亜硫酸ガスで燻し水分を約半分飛ばしてあります。
- ころ柿
渋柿を天日干しにして半乾きになったら、ムシロの上で転がしながら乾燥させます。
表面に白い粉があり、あんぽ柿より乾燥が進んだ状態になっています。
- 串柿
渋柿の皮を剥いてから、竹串に刺して干してあります。
正月の鏡餅にのせて飾ります。
1本の串には2個・6個・2個の順に刺してあり、「いつもニコニコ(2個2個)、仲むつ(6個)まじく」という願いが込められています。
生柿と違う干し柿の栄養と効能
干し柿は生の柿よりも栄養が凝縮しています。
- βカロテン
生の柿より約45倍のβカロテンが含まれています。
強い抗酸化作用があり、生活習慣病や老化・ガンなどの予防に効果があります。
またビタミンAに変換してくれるので、風邪予防や病気の回復を早める・皮膚や粘膜を保護する・視力の維持・ドライアイや疲れ目の改善などにも効果が期待できます。
- カリウム
ナトリウムとの働きによって、体内に溜まった余計な水分・塩分を排出する働きがあります。
むくみ解消や高血圧予防・こむら返りの予防などに効果があります。
- ペクチン
食物繊維の1つで、ねっとりとした食感を出す・便秘解消などに効果があります。
- タンニン
ポリフェノールの1種で、渋味成分です。
生のままだと渋くて食べられませんが、時間をかけて乾燥させ干し柿にすることで不溶性に変わり渋味がなくなります。
毛穴を引き締めてくれるので、アンチエイジングに効果があります。
また、血行が良くなることで新陳代謝も上がります。
抗酸化作用があるため、生活習慣病予防にも役立ちます。
甘柿と渋柿の違いと見分け方 さいごに
柿は渋柿しかなく美味しく食べられるようにと工夫して、干し柿が誕生しました。
突然変異によって甘柿が誕生しましたが、干し柿にすることで栄養がギュッと濃縮されています。
渋柿を甘くした干し柿ですが、食べ過ぎてしまうとカロリーオーバーになるだけでなく貧血や下痢などの原因になってしまうので1日2個までにしましょう。
渋柿と甘柿は形で見分けることができるので、選ぶ時に形をよく見るようにしましょう。
見分けるのに自信がないときは品種を覚えておくのも1つの方法です。
柿を見かけたら甘柿か渋柿かを観察してみてはいかがでしょうか。