滑稽な格好と動きなどで人を楽しませる道化師には、クラウンとピエロがいます。
それぞれの役割にはどんな違いがあるのでしょうか。
また病院で活躍する「ホスピタル・クラウン」という道化師がいます。
クラウン・ピエロの役割や歴史・ホスピタル・クラウンについてなどを紹介します。
道化師のクラウンとピエロの役割は?
クラウンとは道化師全般をさしていて、「のろま」や「バカ」・「おどけ者」・「ふざける」・「田舎者」などの意味があります。
サーカスや大道芸などに登場するコメディアンで、おどけた曲芸で演技の隙間時間を埋める役割があります。
また司会として観客と話しながら、巧みな話術で会場を笑わせる明るいキャラクターです。
一方、ピエロはクラウンの種類に含まれていてパントマイムやサーカス・喜劇劇などに登場します。
場面転換の時に観客が飽きないように、人前で滑稽な振る舞いをして会場を笑わせる役割があります。
クラウンは観客と話をしますが、ピエロは話さずコミカルな動きだけで笑わせるサーカスでは重要なキャラクターです。
道化師の起源と歴史
古代ギリシャや古代ローマでは、モノマネや大食芸で楽しませる道化がいたといわれています。
心身障害者や精神薄弱者・小人症などの障害者が道化師として雇われることが多かったです。
その理由として、障害を持っている人は「悪意のない人」で純粋で無邪気な心から出てくる無意識の知恵が自然から与えられていることで、敬愛の対象となっていたそうです。
そのため村や宮廷に「宮廷道化師」として雇われ面倒をみて貰っていました。
また魔除けとしての役割もありました。
しかし、王政が終わったと同時に宮廷道化師という仕事もなくなってしまいました。
現在のような道化師が誕生したのは、16世紀イタリアの喜劇・コメディアデッラルテであるといわれています。
コメディアデッラルテには、ケチな商人や間抜けな金持ち・ずる賢い老人・意地悪な使用人・ナルシストな王子・医者・美女・魔女・浮浪者などが登場します。
その中の意地悪な使用人が道化師の原形であるといわれています。
意地悪な使用人は、相手がいなくてもセリフを上手に話しパントマイムや無鉄砲な動きをするキャラクターで、彼がいることで物語の面白みが増します。
人気となり不動の地位を手に入れました。
フランスへ渡ったとき、意地悪な使用人より弱い立場の召使いが必要となりピエロが誕生します。
ピエロは田舎者の愚か者で、人々に嘲笑される役です。
白い服と白塗りの顔は死を意味していて、感情や言葉・表情など全てを無くしたことを表しています。
顔に描かれた涙目は、人に笑われバカにされて喜んでいますが、本当は悲しいことを表現しています。
ホスピタル・クラウンとは?
ホスピタル・クラウンとは、病院で活躍する道化師のことです。
笑うことで身体の免疫力が上がると言われていて、病院に笑いを届ける活動をしています。
入院生活は楽しいものではなく、患者だけでなく家族の負担・ストレスは大きいです。
病院は病気を治すための場所であるため、多くのことが制限されています。
仕事にユーモアを取り入れ、患者に接する医師や看護士もいますが業務内では限られてしまいます。
そのため、道化師が病院を訪問し笑いを届けるホスピタル・クラウンが誕生したといわれています。
ホスピタル・クラウンは、専門の教育を受け病院の知識や衛生面を理解してから訪問しています。
日本では94ヶ所の病院で定期的に活動をしていました。
しかし新型コロナウィルス感染拡大防止のため、活動を自粛せざるを得ない状態になりました。
2022年10月頃から少しずつ小児病棟での活動が戻ってきたそうです。
ホスピタル・クラウンの発祥
ホスピタル・クラウンは1980年、アメリカの医師であるハンター・アダムスによって始まりました。
1986年、ニューヨークのビッグアップルサーカス、マイケル・クリステンセンによってクラウンドクターと呼ばれる専門家の育成が開始されました。
やがて、この活動は全米から全世界へと拡大していきました。
ピエロとクラウンの役割と歴史や起源 さいごに
同じ道化師でも、クラウンとピエロでは役割に違いがあります。
ちなみにハンバーガーチェーンのマクドナルドのマスコットキャラクターである「ドナルド・マクドナルド」はクラウンで、モデルは道化師のウィラード・スコットです。
また病院を訪れ、入院患者たちに笑いを届けるホスピタル・クラウンの活動は新型コロナウィルスによって自粛されていましたが、少しずつ活動できるようになってきました。
それぞれの役割の違いを確認してみてはいかがでしょうか。