滑稽な動きで楽しませてくれるピエロ。
日本では道化師とも呼ばれていますが、近年ではクラウンとも呼ばれているそうです。
道化師には、どんな特徴があるのでしょうか。
道化師の種類や特徴などを紹介します。
道化師とは?意味や特徴
道化とは、人を笑わせるための滑稽な言動や動きのことをいいます。
道化師は道化を生業とする、道化を振る舞う人のことをいいます。
また歌舞伎で、喜劇的な演技をする人のことを道化方(どうけかた)と呼んでいます。
道化の語源には、「たわけ」が転じた・おどけること、ふざけた、たわむれなどを意味する「おどけ」の「お」が取れて、長音化して「どうけ」になったなど、諸説がいくつかあります。
道化師の歴史
古代ギリシャや古代ローマでは、モノマネや軽口・大食芸などで楽しませていたことが道化師の始まりであるといわれています。
中世ヨーロッパでは王族や貴族などの特権階級が道化として雇っていて「宮廷道化師」と呼ばれていました。
日本で初めて道化師の曲芸が行われたのは、明治時代だといわれています。
海外のサーカスが日本で巡業が行われたときクラウンの芸に興味を持ちましたが日本人には合わなかったそうです。
そのため、日本でサーカスを取り入れたとき、クラウンと芸を排除した内容になります。
そしてクラウンの代わりに曲芸のできない哀れなピエロが口上を言う役割を与えられました。
ピエロはサーカスの芸人と混同され、サーカスの道化としてピエロが浸透していきました。
日本の道化師・道化方
歌舞伎では喜劇的な演技をする人を「道化方(どうけがた)」と呼んでいます。
ヨーロッパの道化師と同じようにモノマネや滑稽な口上で人を楽しませるが、芝居に欠かせない役の1つとなっているところに違いがあります。
元禄歌舞伎では重要な場面を担当することが多く、ただ滑稽な演技で観客を笑わせるだけでなく、進行役としての役割もあります。
その後、歌舞伎が物語性を追求したことで、道化方の役割がなくなり天明歌舞伎になるころには衰退してしまいました。
道化師は総称!クラウンの種類
滑稽な動きで人を楽しませる人たちのことを道化師と呼んでいますが、大きく分けて3つの種類があります。
ジェスター
中世ヨーロッパ、またはテューダー朝時代に王族や貴族によって雇われていた大道芸人のことで、宮廷道化師とも呼ばれていました。
ジェスターには小人症など肉体的障害を持っている人が多く、笑い物の対象になっていましたが君主に対して無礼にあたる動きや言動をしても許されていました。
曲芸よりも、ジョークを主な芸風としていました。
現在のヨーロッパでも、歴史を再現した催し物などで見ることができるそうです。
クラウン
18世紀頃のイギリスで行われていた曲馬ショーで、おどけ役を演じていた役者が「クラウン」と名乗ったのが始まりといわれています。
クラウンには、馬鹿・のろま・おどけ者・ふざける・田舎者などの意味が含まれていて、ショーの合間に下手な曲馬乗りやパロディを披露していました。
現在では観客の余韻が冷めないように、曲芸もできて司会もできる役者のことを言うそうです。
ピエロ
クラウンよりもさらに馬鹿にされる芸風を行う人のことで、フランスの喜劇芝居に登場することが多いそうです。
中世イタリアの即興喜劇集団「コメディア・デラルデ」に登場するペドロリーノという役名が由来であるといわれています。
この役名はフランスでは、ピエールと改められ、愛称としてピエロと呼ばれるようになりました。
クラウンとピエロはメイクのここが違う
クラウンとピエロのメイクは一見同じように見えますが、ピエロのメイクには涙マークがあります。
ピエロの顔に涙マークがあるのは、馬鹿にされることで観客を笑わせていますが本当は傷ついて悲しんでいるという意味が込められています。
また涙マークには、「人のことを思いやり流す涙」・「人の心の痛みを知って流す涙」などの意味も含まれています。
クラウンのメイク
クラウンのメイクには主に3種類あるといわれています。
オーギュスト
目や口の周りだけを白くしてあります。
ホワイトフェイス
顔全体を白くしてから、目・鼻・口に色をつけます。
キャラクター
放浪者や警察官・消防士など実在の人物をモデルにしています。
道化師とは? さいごに
ピエロやクラウンをまとめて道化師を呼んでいますが、役割・メイクはそれぞれ違いがあります。
その違いでピエロやクラウンたちの芸を見てみてはいかがでしょうか。