天ぷらは魚介類や山菜・野菜などに小麦粉を水で溶いた衣をつけて揚げる日本の代表的な料理です。
天つゆや塩につけて食べるだけでなく、うどんや蕎麦・丼物の具材にもできるので人気があります。
日本料理の1つである天ぷらは、いつどこで誕生したのでしょうか。
天ぷらの起源や歴史・種類などを紹介します。
和の文化の天ぷらの起源は?
天ぷらが誕生したのは日本ではなく、ペルシア帝国(現在のイラン・イスラム共和国)であるといわれています。
6世紀頃、ササン朝ペルシア帝国の王・ホスロー1世がシクバージという料理を好んで食べていました。
シクバージとは大量の酢を入れた牛肉の煮込み料理で、保存食として作られていたそうです。
10世紀頃になると小麦粉をまぶしてから揚げた魚を使ったシクバージが作られるようになりました。
その後シクバージはヨーロッパに伝わり、スペインやポルトガルでは揚げた魚に酢をかけて食べる料理へと変わりました。
室町時代にポルトガルから日本へと伝わり天ぷらになったといわれています。
天ぷら今に至る日本での歴史
天ぷらは室町時代にポルトガルから鉄砲と一緒に伝わりました。
当時の天ぷらは魚や野菜に小麦粉の衣をつけて揚げていました。
安土桃山時代ではポルトガル人が長崎に伝えた「長崎天ぷら」が日本の天ぷらのルーツと言われています。
長崎天ぷらとは、小麦粉・卵・砂糖・塩などで作った分厚い衣を肉や魚・野菜などにつけて揚げた料理です。
フリッターに似ていて、衣に味がついているので天つゆを用意する必要がなく、冷めても美味しく食べることができます。
当時の油はとても貴重品だったので、庶民に広まることはありませんでした。
江戸時代になると油は手に入りやすくなり、天ぷらは庶民の味として広まっていきました。
天ぷらは屋台で売られていて食べやすいように食材を串に刺し、小麦粉・卵・水で作った衣をつけて揚げて天つゆにつけていたそうです。
明治時代になると江戸庶民の味だったてんぷらは、専門店が登場したことで高級料理として扱われるようになりました。
大正時代に発生した関東大震災によって、職を失った東京の料理人たちが日本各地へと移住したことで天ぷらは広まっていきました。
昭和初期では油が高価なものであったことから、天ぷらは正月や祝いの席・祭りなどで食べる特別な料理になりました。
太平洋戦争中は食料不足のため油を使った料理を楽しむことが難しくなり、天ぷらは贅沢な料理となりました。
戦後の高度経済成長期になると食用油の生産量が増えたことで、一般家庭でも天ぷらは手軽に楽しめる料理となりました。
天ぷらの日本での種類
エビやイカ・キス・ナス・大葉などが天ぷらの定番となっていますが、他にもたくさんの食材で天ぷらを楽しむことができます。
鶏肉
大分県の郷土料理で、とり天と呼ばれています。
鶏肉を一口サイズに切り、ニンニク・生姜などで下味をつけて小麦粉を溶いた衣をつけて揚げます。
天つゆではなく、ポン酢や酢醤油などをつけて食べます。
唐揚げよりサッパリとしていますよ。
紅ショウガ
スライスした紅ショウガに衣をつけて揚げた大阪名物です。
うどんのトッピングや酒のつまみ・おやつなどで食べられています。
アボカド
アボカドを切ってみたら果肉が熟してなくて固いことがあります。
天ぷらとして揚げると果肉が柔らかくなり、トロッとした食感を楽しむことができます。
白子
白子とは魚類の精巣のことで、トロッとした食感を楽しむことができます。
白子ポン酢や白子焼きも美味しいですが、天ぷらにしても美味しいですよ。
カラッとした衣とトロッとした白子の相性は抜群です。
まんじゅう
長野県や福島県などでお盆や法事・祝いの席などに出されています。
そのまま食べても美味しいですが、天つゆや醤油をつける食べ方もあります。
紅葉
大阪府箕面市の名物で、食用として育てた紅葉の葉を塩漬け・塩抜きをしてから衣をつけて1枚1枚丁寧に揚げます。
カリッとした香ばしさと甘味が楽しめます。
和の文化の天ぷらの起源と種類 さいごに
天ぷらの発祥がペルシア帝国の王が大好物だった料理だったのは意外でしたね。
今では手軽に味わえる料理ですが、昔は滅多に食べることができない贅沢な料理だったんですね。
肉や魚・野菜だけでなく、果物や甘味までも天ぷらの食材になるので、色々試して天ぷらの新しい味を探してみてはいかがでしょうか。
♪家で天ぷらを揚げる時ってサクサクにできないことがあります。そんな時はこちらの記事にコツを書いてみました(^^)
天ぷらをサクサクにあげる基本のコツ!海苔や葉っぱもサクサク!