時代劇などで使われている枕の形は、現在の枕と違い高くなっています。
みていても寝心地はわるそうだし、どうして高い枕を使うようになったのでしょうか。
そして、さまざまな形や種類のある現在のような枕は、いつから使われるようになったのでしょうか。
枕の歴史や昔の枕が硬くて高かった理由など気になったことを調べてみましたのでご紹介します。
現在の枕の始まりはいつから
現在のような平らな枕は、昭和初期に使われるようになったといわれています。
最近では肩こり対策などの機能性がある、または低反発性・高反発性などのタイプがあり、種類が豊富にあります。
昔の枕はなぜ硬くて高い
時代劇に出てくる高い枕は箱枕と呼ばれていて、筒状の袋にそば殻や綿を詰めた枕を木で作られた台座にのせて使っていました。
江戸時代では、男女とも髷を結っていました。人々はだんだんと凝ってきて派手な髷を結うようになりました。
そのため、髪型を維持するために首を支えるための箱枕が誕生したといわれています。
この箱枕は昭和の始め頃まで使われていたそうです。
箱枕を使う人は少なくなりましたが、舞妓さんや芸妓さんたちが今でも使っています。
枕の進化と歴史
1924年、南アフリカでアウストラロピテクスの化石が発見されたとき、頭蓋骨の下に石が敷かれていました。
祭司的な意味で置かれたのか、枕として使われたのかは不明ですが、これが最も古い枕の痕跡だといわれています。
現在のような枕は11世紀末頃に始まった十字軍の遠征で使われるようになったといわれています。
遠征先のイスラムで使われていたクッションがヨーロッパに伝わり、気候にあう羽毛などの素材を使った枕が作られるようになりました。
日本では、弥生時代に使われたと思われる枕が発見されています。
ただし、この枕が現在と同じ使い方をしていたかどうかはハッキリしていません。
記録によると、奈良時代頃までは丸太をカットした、または四角く削り整形した木枕や草で編んだ枕が使われていたそうです。
ちなみに奈良県・正倉院には、草を集めて四角く整形し絹の布で包んだ白練綾大枕 (しろねりあやのおおまくら)が保管されています。
これが日本最古の枕であるといわれています。
江戸時代になると、そば殻や草などを筒状の袋に詰め両端を閉じたくくり枕を木で作った台座にのせた箱枕が使われるようになりました。
箱枕は結った髷が崩れないように首にあてて使っていたそうです。
また台座は箱になっていて、貴重品を入れておいたともいわれています。
現在のような平らな枕は昭和初期頃から使われるようになったといわれていて、そば殻や綿などの天然素材を使ったものや高さの調節ができるものなど様々なタイプが誕生しました。
枕の中身として使われている素材
ポリエステル綿
人工繊維のわた素材で、クッション性がある定番素材です。
ふんわりとした柔らかさがあるので、柔らかめの枕が好きな方にオススメです。
羽根(フェザー)
水鳥の羽根を洗浄・消臭した天然素材です。
たくさんの空気を含んでいるので、ふんわりと包み込むような触感が特徴となっています。
パイプ
ストローを細かく切ったような形をした合成樹脂で作られた素材です。
硬めでしっかりとした寝心地が特徴となっています。
そば殻
そばの実の殻を乾燥させたもので、通気性と吸湿性に優れた素材です。
睡眠中に余分な熱を逃がして、汗や湿気などの水分を吸収する働きがあります。
ヒノキ
独特の爽やかな香りでリラックスでき、抗菌・防虫効果が期待できる天然素材です。
吸湿性や通気性が良いため夏でも蒸れにくく快適に使うことができます。
ウレタン(低反発)
スペースシャトルの宇宙飛行士のためにNASAが開発したマシュマロのようなスポンジ状の素材です。
ゆっくりと沈み、ゆっくりと戻るという独特の触り心地が特徴となっています。
ラテックス(高反発)
ゴムの木から採取した樹液を加工した天然素材です。
弾力性と高反発性があるので、しっかりと首を支えながら、柔らかな感触があります。
ビーズ
発泡スチロールを約0.5mmの粒状にした素材です。
高い流動性によって、体型や姿勢に合わせてフィットしてくれます。
ミニボール
穴が開いていて直径約1cmのプラスチックボール素材です。
パイプよりゴツゴツした感じが強いですが、柔軟性とクッション性はあります。
現在の枕の始まりと昔の枕 進化と歴史 さいごに
現在のような平らな枕は昭和初期頃から使われるようになり、それまでは箱枕と呼ばれる枕が主流となっていました。
結った髷を崩れないように台座を使って高くしてありましたが、高すぎると首を痛めることもあったようです。
現在は様々な素材を使った枕があるので、自分に合った枕を探してみてはいかがでしょうか。