お坊さんがお経を読む時にポクポクと叩く木魚ですが楽器として使われることがあるそうです。
よくみかける木魚の形は丸いですが、魚の形になっている木魚もあります。
どうして、魚の形をしているのでしょうか。
そしてなぜ木魚という名前なんでしょう?
木魚とはどんなものなのか、不思議におもうことを由来や歴史などから探ってみました。
木魚とは楽器?なぜ魚?
木魚は中国の清時代では民衆音楽、日本では歌舞伎の効果音、ベトナムでは「モー」と呼ばれていて打楽器として使われていました。
第二次世界大戦後になるとジャズやクラシックに取り入れられ、「テンプル・ブロック」または「チャイニーズ・ブロック」と呼ばれています。
2個から5個を1組にして使うことが多く、出る音は柔らかいです。
ちなみに木魚と対照的な高音で鋭い音色を出すウッドブロックには四角い箱形と筒状の2種類があり、割れ目が入っていて叩くと音が出ます。
ウッドブロックの音は時計の効果音としても使われているそうです。
今の木魚は丸い形をしていますが、昔は魚板(ぎょばん)というもので鯉やシャチなどの魚の形をした平たい板でした。
魚板は寺院の食堂や庫裡(くり)と呼ばれる台所のような場所に吊されていて、木槌で叩いて時刻を知らせていたそうですよ。
魚は昼夜いつでも目を閉じることなく不眠不休を表しているため、修行僧たちが魚のように昼夜問わず寝る間も惜しまず修行に励むようにという戒めの意味があるといわれています。
木魚の形や名前の意味と叩く理由
お経を読む時にお坊さんが木魚を叩くには3つの理由があります。
眠気覚まし
お経のリズムは単調なので、眠気がくることがあるそうです。
木魚の音で眠気覚ましの効果があるといわれています。
リズムを取る
お経を読んでいるとスピードが段々と速くなったり、遅くなったりとリズムが崩れてしまうことがあるそうです。
木魚を叩くことでメトロノームのようにリズムを一定にすることができます。
煩悩をはき出す
昔の木魚は魚を象った板で口には玉を加えています。
この玉は「煩悩の珠」と呼ばれていて板を叩くことで煩悩をはき出すという意味があったそうです。
今の木魚も叩くことで煩悩をはき出す意味があるといわれています。
【木魚の使い方】
木魚を置く時には専用の布団である木魚布団を敷いてから、その上に木魚を置きます。
木魚布団を使うのは、木魚が傷つかないようにするだけでなく叩いているうちに木魚が移動しないようにする理由があるそうです。
倍と呼ばれている木魚専用の棒で叩いて音を出します。
木魚の叩く位置や強さによって音が変化します。
木魚の由来と日本での歴史
日本では室町時代に禅宗寺院で大衆を集める合図として木で作った鳴り物が使われたことがはじまりといわれています。
江戸時代になると、中国の隠元隆琦(いんげんりゅうき)が明禅とともに木魚を日本に伝え、一般に広まっていきました。
【木魚の作り方】
楠や桑などの丸太を材料にして、愛知県愛西市で生産されています。
- 木取り(その1)
約3年間寝かした丸太を木魚のサイズに輪切りにします。
木材の芯にはヒビが入るため、基本的には使いません。
- 木取り(その2)
輪切りにした木材の余分な部分を取り、大まかな形を作ります。
- 整形
平のみとカンナを使って、大きさと形を整えます。
- 中彫り
特殊な形状ののみで中をくり抜きます。
- 乾燥
サイズによって違いがありますが、約1~10年かけて陰干しをして自然乾燥させます。
- 彫刻
必要に応じて取っ手部分、本体表面に模様を彫っていきます。彫刻のデザインには、2匹の龍が1つの珠を加えている「並彫」、並彫より少し複雑な曲線や渦紋を刻んだ「上彫」、並彫・上彫と同様の作りに複雑な装飾を加えた「龍彫」、伝説上の動物である鯱を刻んだ「鯱彫」などがあります。
- 研磨
本体表面を紙やすりで磨いてから、艶出しワックスで仕上げます。
- 音付け
サイズと木質に応じて音を調節して完成です。
木魚は楽器? さいごに
木魚は天台宗や浄土宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗、禅宗で使われていますが、地域・寺院によって異なることがあるそうです。
また木魚の音は眠気を払うだけでなく、心を落ち着かせる効果があるといわれています。
オーケストラでも使われているので、機会があったら聴いてみてはいかがでしょうか。
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