耳かきとは、耳が痒くなったときに使う道具ですね。
耳の穴は小さく、人の指では難しい耳掃除も耳かきがあれば簡単に行うことができます。
当たり前に使っている身近な道具も便利なものがいろいろあります。
起源や歴史も気になりませんか?耳かきはいつどこで誕生したのでしょうか。
耳かきの歴史や種類・正しい耳かきのやり方などを紹介します。
耳かきの起源と歴史/いつからあるの?
公開されている記録が少ないためハッキリとしたことは分かりませんが、ヨーロッパではローマ時代に耳かきがあったといわれています。
中国では紀元前13世紀頃、女性将軍だった婦好(ふこう)が玉を削って作った耳かきを使っていたそうです。
日本では江戸時代に高橋図南(たかはしとなん 本名:高橋宗直)が、簪(かんざし)の端をヘラ状にした耳かきを作ったのが始まりであるといわれています。
京都で「耳かきつき簪」がブームになり、これが日本中に波及し、江戸でも耳かきつき簪が普通に売られるようになったそうです。
その頃は贅沢を禁止する法律があったため、簪はぜいたく品だったので「これは飾りのついた耳かきです」と言い逃れるため、かんざしに耳かきがついたものが流行ったとか。
江戸時代には、耳掻きを専門に行うという職業「耳垢取」があったそうです。
明治時代、浅草周辺の露店には耳掃除屋さんも登場しましたが庶民の人が利用するというより、上流階級の人が利用する感じのサービスだったそうです。
現在も耳かきをするサービスなどがあり人気があるようですね。
耳かきの正しいやり方とは
耳の中で耳垢がカサカサしていると気になってしまうのではないでしょうか。
耳かきで耳垢を取り除くことはできますが、間違った方法だと耳の中を傷つけてしまう可能性があります。
耳垢の特徴や耳かきのポイントをいくつか紹介します。
耳垢の特徴
耳垢とは、外耳道にある耳垢腺(じこうせん)と皮脂腺(ひしせん)から出てくる分泌物に剥がれ落ちた垢や毛髪・粉塵などが混ざり合ってできたもののことです。
耳垢には乾性耳垢と湿性耳垢の2種類があります。
- 乾性耳垢
カサカサと乾いた耳垢で、日本人の約7割が該当するといわれています。
灰白色(かいはくしょく)でウロコのようになっているという特徴があります。
ミミアカやコナミミ・ミミカスとも呼ばれています。
- 湿性耳垢
ネバネバ・ベトベトとした耳垢で、西欧人の約9割が該当するといわれています。
褐色でアメみたいにネバーッとしているという特徴があります。
アメミミやヤニミミ・ジュルミミ・ネコミミとも呼ばれています。
耳かきのポイント
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- 月1回程度にしておく
- 耳の穴から約1cmの深さまでにしておく
- 耳の奥や痒みが気になる場合は自分で行わず、耳鼻咽喉科を受診する
- 子どもが耳かきを嫌がる場合は無理にしない
間違った耳かきをしてしまうと
耳かきの方法を間違えると、以下のような病気になってしまうことがあります。
- 外耳炎
耳かきで作った傷や引っかき傷などから細菌が入ることによって、痛みや赤み・かゆみ・耳垂れなどの症状が出てきます。
- 外耳道湿疹(がいじどうしっしん)
耳かきのし過ぎが原因で、外耳道の皮膚が荒れ湿疹やかゆみ・分泌液が出るなどの症状が出ます。
耳かきはこんなに種類が!
耳かきには形状・素材・機能によって、いくつか種類があります。
形状
- ヘラ型
耳垢を掻き取れるような形になっています。 - スクリュー型
360度どの方向からでも使うことができるようになっているので、耳かきをする向きを気にしなくても大丈夫です。 - スパイラル型
先端がバネのようになっています。
バネのすき間に耳垢をからめ取ってくれるので、ネバネバ・ベトベトした湿性耳垢にも適しています。
素材
- 竹・木
日本の耳かきのほとんどが竹、または木で作られています。
竹は適度な硬さと弾力性があるので耳かきに適しています。
ヘラ部分の反対側にはフワフワとした毛玉がついていて、凡天(ぼんてん)と呼ばれています。
梵天の素材には水鳥の毛が使われています。
木製の耳かきにはツゲが多いです。 - 金属
チタンやステンレスが使われています。
竹や木のように折れる・割れる心配がありません。
耳垢をしっかり取れる・水洗いができるというメリットがあります。 - 紙
使い捨てタイプで、反対側には麺棒がついていることが多いです。
- プラスチック・ゴム
柔らかく弾力性があります。
耳の中を傷つけることこなく、耳かきをすることができます。
機能
- イヤースコープ
耳垢を取る部分近くに小型カメラが付いていて、中の様子を画面で確認しながら耳掃除ができます。
少し値段が高い・使いこなすにはコツがいるというデメリットがあります。
- 吸引
耳かきクリーナーとも呼ばれていて、掃除機のように耳垢を吸い取ってくれます。
耳の中を掻くことがないので、安全に耳掃除ができます。
ただし、ベトベトとした湿性耳垢には適していません。
耳垢の起源と歴史 さいごに
耳には溜まった汚れを自然に出す自浄作用があるため、基本的に耳かきは必要ないといわれています。
しかし、それでも耳の中が気になってしまうこともあります。
耳かきをするのは月1回程度、奥に入れすぎずに行うことが大切です。
耳鼻咽喉科でも耳かきをしてくれるので、自分に合った方法でやってみましょう。