水族館とは、海や河川・湖などに生息している生物を展示している施設です。
水族館は水中生物を見るだけでなく、癒し効果もあると言われます。そんな水族館は、いつ誕生したのでしょうか。水族館の歴史や役割などを紹介します。
水族館のはじまりは水槽展示?
世界初の水族館は古代ローマ帝国であるといわれていますが、魚を展示するというより獲った魚を自宅で保存するための「いけす」のようなものでした。
水槽もガラスではなく、石で造った水槽や池であったといわれています。
水族館の歴史
世界で初めて造られた水族館については諸説がいくつかあります。
1830年に博物館学者であるド・モリンズがフランス・ボルドーで、魚を入れた水槽を並べて展示したものでした。
今のような水族館が誕生したのは、1852年にイギリス・ロンドン動物園内にオープンしたフィッシュハウスです。
ここでは58種類の魚・76種類の軟体動物・41種類の甲殻類・27種類のイソギンチャクなどをはじめとする腔腸動物(こうちょうどうぶつ)・15種類のウニなどをはじめとする棘皮動物(きょくひどうぶつ)などの生物を360度ぐるりと見回せることができるガラスに水槽に入れて展示していました。
1857年にアメリカ初の水族館となるオーシャン・アンド・リバー・ガーデンスがオープンしました。
しかし、1865年の火事によって焼失してしまいました。
1860年にフランス・パリにオープンしたジャルダン・ズーロジック・ダクリマシオン付属水族館では、珍しい生物をみるだけでなく、その世界にはまり込んで非日常を体験できる没入型展示を取り入れました。
1867年にフランス・パリ万国博覧会の会場内にオープンした、淡水水族館と海水水族館では、水槽の周りを岩で囲んだグロッタ風のデザインにしました。
グロッタ風デザインは本物の海中世界を再現したのではなく、人間がイメージして見たいと思う海中世界を作り出すことで水族館に訪れた人たちに海中体験を楽しめるようにしました。
フランスのSF作家であるジュール・ヴェルヌは、この水族館で見た水中の景色をモチーフにして、冒険小説「海底2万海里」を書いたといわれています。
その後、ドイツやフランス・アメリカ・ポルトガルなど様々な国で水族館が誕生しました。
日本で初めて水族館が登場したのは1882年、日本初の動物園・上野動物園の一角に開設した「観魚室(うをのぞき)」です。
しかし、循環濾過装置がない小さな水槽で淡水魚のみが飼育されていたため、本格的な展示とはいえませんでした。
1895年に京都市で「第4回内国勧業博覧会」が開催されたとき、神戸市が協力して和田岬にあった和楽園という遊園地内に「和田岬水族放養所」をオープンしました。
博覧会終了後も海水魚の展示は続けられていました。
2年後の1897年に、神戸市で「第2回大日本水産博覧会」が開催さたときに「和田岬水族放養所」の展示内容を充実させ、「和田岬水族館」として公開を始めました。
館内には約30個の大小の水槽で、瀬戸内海を中心とした約100種類の魚たちを海底や岩場を模したジオラマ風で展示をしていました。
さらに循環濾過装置も設置されていて、本格的な水族館だったそうです。
また「水族館」という名称も初めて使われました。
和田岬水族館は博覧会終了後、神戸駅近くの湊川神社の敷地内に移され、1902年から1910年まで市民たちに親しまれていました。
高度成長期になると、鉄道会社が沿線の都市開発のために水族館をオープンさせました。
1990年代では東京都の葛西臨海水族園、福岡県のマリンワールド海の中道をはじめとする大型水族館が各地に誕生しました。
また技術の進化によって、アクリルパネルで造られた巨大な水槽のある水族館も誕生しています。
人工海水技術や循環濾過装置の進化によって、都心部でもオープンできるようになったことで水族館は子どもたちの学習や行楽だけでなく、大人たちが癒される場となり誰でも気軽に行ける施設となりました。
現在では見るだけでなく、閉館後の水族館に泊まれる・イルカやアシカの調教ができるなどの体験プログラムもふえているそうです。
水族館の役割とは
水族館には、保全・教育・研究・レクリエーションと4つの役割があります。
- 保全
少なくなっている生物を保護し、次の世代へ伝えていくために様々な方法で生物を管理しています。
- 教育
本物の生物を見ることで、テレビや本だけでは得られない体験によって興味を持つきっかけになります。
- 研究
生物の世話をしながら、生態や繁殖に関する研究を行っています。
- レクリエーション
家族や友人たちと楽しい時間を過ごすとともに、命の大切さとを感じてもらう場となっています。
水族館のはじまりと歴史 さいごに
水族館の歴史は食用の魚を保存するための水槽や池から始まり、現在では保全・教育・研究・レクリエーションの役割を持つ施設となりました。
技術が進み、都会でも水族館に行けるようになっています。
様々な水中生物が見られる水族館で癒されに行ってみてはいかがでしょうか。