お正月の三が日の食卓に欠かせないお雑煮。
お雑煮は旧年を無事平穏に過ごせたことに感謝し、新年の無事を祈り、神仏にお供えしたお餅と野菜・肉など様々な具材を使い煮込んだ料理です。
お雑煮の語源は、いろんな具材を煮込む「煮雑(にまぜ)」からきています。
盛り付けるときに、普段味噌汁で使っている汁椀でなく雑煮椀を使います。
それが当たり前のように使っていましたが、雑煮椀とはどんな器なのでしょうか?
お正月に使う雑煮椀や祝い箸の意味・使い方などをまとめてみました。
雑煮椀について お椀の種類や特徴
日本の食器の一つにお椀があります。
お椀には、汁椀や煮物椀といったように、種類が豊富にあります。
汁椀・煮物椀・多様椀・蒸し椀・飯椀(茶碗)などの中で多様椀は、その名の通りいろいろな使い方をされるお椀のことですが、雑煮椀はこの多様椀のひとつなんですね。
合鹿椀というものもあり、これは床置きで食事することを想定しているために高台が高くなっています。
多様椀は、ものによっては蓋がついています。
雑煮は餅や野菜肉などさまざま入った汁物になります。
汁物を使うお椀と言えば汁椀があり、様々な大きさがあります。
味噌汁だけに使うなら400ml以下の小さな汁椀を使います。
でも、お雑煮を入れようとすると、具材だけで汁椀がいっぱいになってしまいます。
雑煮椀は汁椀と比べると深くて大ぶりなお椀になっているので、具だくさんのお雑煮を盛り付けることができ、蓋があると冷めにくくお皿代わりにもなります。
雑煮椀は雑煮を入れるお椀として使う器ですが、お雑煮だけでなく煮物や麺類を入れる器としても使われているということですね。
雑煮椀はいつから使われているの?
雑煮椀は、多様椀のひとつですが、煮物椀としても使われていました。
懐石料理のメインとなる料理を入れる蓋付きの椀です。
懐石料理とは、お茶の席で出される料理で「茶懐石」とも呼ばれています。
安土桃山期に茶人・千利休によって完成された茶の湯に伴って誕生したのが懐石料理です。
熱い料理は熱いうちに、冷たい料理は冷たいうちに頂くのがマナーです。
そして、煮物椀に蓋が付いているのは料理が冷めるのを防ぐ役割があります。
このことから、いつから雑煮椀として使われていたかは不明ですが、懐石料理で使用した蓋付の椀が、正月の雑煮椀としても使われたのではないかと思います。
お正月の祝箸の意味は?その使い方
祝い箸とは、おせち料理やお雑煮を食べるときに使うお箸です。
「両口箸」とも呼ばれていて、両方の先端が細くなっています。
一方は歳神様がもう一方は私たち人間が使い歳神様と一緒に飲食をする
「神人共食(しんじんきょうしょく)」を意味しています。
歳神様と一緒に飲食を共にすることで親密な関係になり、1年の守護を得られると言われています。
間違っても両端が使えるからと、もう一方を取り箸として使ってはいけません。
使い方
大晦日にすること
大晦日に家長が家族全員分の名前を箸袋の表側に書いていきます。
家長本人は名前ではなく「主人」、来客用は「上」、取り箸は関東では「山海(さんかい)」、関西では「組重(くみじゅう)」と書きます。
書き終えたら神棚にお供えをします。
神棚がない場合は、代わりに鏡餅のそばにお供えします。
・山海の意味
歳神様・歳徳神にお供えした節供のお下がりを家族全員で頂く神事の名残からと言われています。
・組重の意味
おせち料理がお重に入れるようになり、壱の重・弐の重・参の重と重箱の組重からと言われています。
元旦に使うとき
大晦日に神棚または鏡餅のそばにお供えしておいた祝箸を家長がおろします。
祝箸を使う期間
正月三が日または、松の内(元旦から7日)まで同じ祝い箸を使うとされています。
使用した方の先端を洗い乾いてから自分の箸袋に戻します。
祝箸の処分方法
使用した祝い箸は、成人の日または1月15日頃に行われる左義長(どんと焼き)で正月飾りと一緒に燃やします。
左義長に行けない場合は、祝箸を塩で清めて白い紙に包んで燃えるゴミとして出します。
雑煮を頂くときの雑煮椀や祝い箸の置き場所には意味がある
雑煮椀や祝い箸の置き場所は、通常の食事マナーと変わりありません。
雑煮椀は右側に置きます。
これは、日本古来の伝統で左が上位である左上位説があります。
お米を大切にしていて「ありがたく頂く」という心が表れていると言われています。
逆に並べてしまうと、仏壇にお供えするときの配置になってしまうので気をつけましょう。
祝い箸をテーブルに置くときは、口に運ぶ方の箸先が左側にくるようにします。
祝箸が入っていた箸袋は食事の邪魔にならない場所に置きましょう。
箸袋を折って箸置きとして使うことがありますが、祝箸の箸袋の場合はマナー違反になるので折って箸置きにするのはNGですね。
雑煮椀 さいごに
雑煮椀は味噌汁を入れる汁椀より少し大きめなので雑煮を入れるだけでなく、煮物や丼物、麺類の器として使うことができるので、揃えてみるのもいいのではないでしょうか。
また、祝箸は歳神様と一緒に使う箸なので、お正月の間は大切に使うようにします。
日本に伝わる行事には、ほんとうにいろいろ決まりやその意味があります。
調べていくと、日本の歩んできた歴史がほんの少しわかる気がします。
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