カツ丼や牛丼・天丼など、日本には様々な丼物があります。
一つの丼にご飯と具材をのせた食べ物は、いわゆる現在でいうところのワンプレーと料理のようなもの。
そんな丼物はいつから食べられるようになったのでしょうか。
丼物の発祥や歴史などを調べてみました。また主な丼物の種類などをご紹介します。
丼物とは?意味やルーツ
丼物とは、どんぶり飯の上にトンカツや天ぷらなどの具材をのせた食べ物で、「どんもの」または「どんぶりもの」と呼びます。
室町時代、ご飯の上に刻んだ野菜や魚などをのせ味噌汁を注いだ「芳飯(ほうはん)」という食べ物が原点であるといわれています。
丼物いつから?発祥と歴史
丼物の原点は室町時代の「芳飯」ですが、本格的な丼物が登場するようになったのは江戸時代の「うな丼」です。
うな丼は、芝居を見ながら食べることを目的とした食べ物で、ご飯の上にうなぎの蒲焼きを添えてありました。
同じ器に、ご飯とおかずが一緒になっているので簡単に作ることができ、広いスペースがなくても食べられるというメリットがあります。
また、美味しかったことがウケて庶民の間に広まっていきました。
江戸時代後期になると、丼鉢が食器として使われるようになったことから、ご飯のうえにおかずを盛りつけた料理のことを丼と呼ぶようになりました。
明治時代になると現在でも定番となっている牛丼や親子丼、大正時代には鉄火丼やカツ丼が誕生しました。
第二次世界大戦後には、ご飯の上にビーフステーキをのせたビフテキ丼、刺身をのせた海鮮丼など様々な丼物が誕生しました。
現在でも、オリジナリティあふれる丼物が日々誕生しています。
丼物の主な種類や創作料理
主な丼物
- 牛丼
薄切りの牛肉・玉ねぎを醤油などで煮込んでから、どんぶり飯にかけた丼物です。
牛鍋をどんぶり飯にかけた料理が始まりで「牛めし」と呼ばれていました。
牛丼という名前は、1899年に牛丼チェーン店「吉野家」の創業者・松田栄吉氏が名付けたといわれています。
- 天丼
どんぶり飯に甘辛いつゆにくぐらせた天ぷらをのせた丼物です。
天丼誕生には、江戸時代末期に屋台の蕎麦屋「嚆矢」である・浅草雷門の天ぷら屋「三定」である・1875年頃神田鍛冶町の「仲野」であるなどの諸説があります。
- カツ丼
主にトンカツと玉ねぎを割り下で煮込んでから卵でとじてから、どんぶり飯にのせた丼物です。
卵とじの他にトンカツをタレや餡・ソースなどをかける、またはしみ込ませてから丼飯の上にのせるタイプもあります。
カツ丼と言えばトンカツを使うのが多いですが、ビーフカツやメンチカツ・チキンカツ・エビカツなどを使ったカツ丼もあります。
- 親子丼
鶏肉を割り下で煮込んでから卵でとじてから、どんぶり飯にのせた丼物です。
彩りとして三つ葉やグリーンピース・刻み海苔などをのせることがあります。
1760年創業の老舗鶏料理店「玉ひ」の5代目店主・山田秀吉氏が、常連客が軍鶏鍋に残った割り下に卵を入れてとじ、ご飯にかけて食べているのを見て考案したといわれています。
- 海鮮丼
どんぶり飯に刺身をのせた丼物です。
第二次世界大戦後に北海道や東北などから広まったといわれています。
マグロやホタテ・サーモン・イカ・エビなどが良く使われています。
- 豚丼
どんぶり飯に甘辛いタレをつけて焼いた豚肉をのせた丼物です。
1933年、帯広市にある大衆食堂「ばんちょう」の創業者・阿部秀司氏が考案したといわれています。
丼物の創作料理
- エビチリ丼
どんぶり飯にエビのチリソース煮をかけた丼物です。
エビチリは中華料理人である陳建民氏が、「乾焼蝦仁」をアレンジした料理です。
当時の日本人は豆板醤の辛味に慣れていなかったことから、ケチャップ・スープ・卵黄をつかって辛味を抑えて作られました。
- ネギトロ丼
マグロを包丁で細かく刻んでからネギを合わせて、どんぶり飯にのせた丼物です。
ネギトロは1964年、浅草の「金太楼鮨」・三ノ輪店で残ったマグロにネギを加えたのが始まりであるといわれています。
- ステーキ丼
どんぶり飯にステーキをのせた丼物です。
東京赤坂にある1950年創業の洋食店「赤坂 津つ井」で誕生したといわれています。
丼物とは?発祥と歴史 さいごに
どんぶり飯の上に様々な具材をのせた丼物は、手軽でサッと食べられる日本特有のメニューです。
具材の組み合わせ次第で種類が増えていく丼物を味わってみてはいかがでしょうか。