季節ごとの行事に用意する特別な食事「行事食」には様々な料理があります。
蕎麦にも大晦日には年越しそば、節分には節分そばなどがあります。
蕎麦と行事食の関係や使われている理由や種類・由来などを調べてみました。
そばと行事食の関係とは?なぜ行事食にそば?
行事食とは、季節の行事やお祝いの日などに食べる特別な料理のことをいいます。
旬の食材を取り入れて作り、無病息災や子孫繁栄などの意味があります。
子どもの健やかな成長など、家族の健康や幸せの願いが込められています。
季節ごとに行われる年中行事は
「神様を呼び、ご馳走を捧げる日」で「ハレの日」と呼び、日常(=ケの日※)と区別しています。
また季節の変わり目は体調を崩しやすいため、行事食としてご馳走を食べることで体に栄養を与え乗り切る「食の知恵」でもあります。
江戸時代では月末に蕎麦を食べる習慣がありました。
「鶴鶴亀亀」や「金が切れない」などの縁起を担いでいたそうです。
この習慣とゲン担ぎの「悪い縁を切る」などの意味を取り入れることに蕎麦が使われました。
これが蕎麦を行事食として食べらるようになった主な理由です。
※「ハレとケ」とは、
柳田國男によって見出された、時間論をともなう日本人の伝統的な世界観のひとつ。
民俗学や文化人類学において「ハレとケ」という場合、ハレ(晴れ、霽れ)は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、ケ(褻)は普段の生活である「日常」を表している。
ハレの場においては、衣食住や振る舞い、言葉遣いなどを、ケとは画然と区別した。
節分そばや彼岸そばとは?
節分そば・彼岸そばというのがあります。
が、どんなものなのでしょう。
節分そば
2月3日に豆まきをする・福茶を飲むなどで節分を過ごします。
その昔は立春の節分を年が改まる年越し・大晦日としていました。
なので「年越しそば」として食べる習慣が明治時代前期まであったといわれています。
現在では邪気を払う・厄を断ち切る・運気アップなどの願いと意味を込めて、好きな具材を入れた温かい蕎麦を食べる習慣になっています。
主に出雲地方や信州地方でよく食べられているようです。
恵方巻きやイワシの塩焼きメニューの汁物として、またはイワシを具材にした節分そばにして食べるといいそうですよ。
彼岸そば
季節の変わり目は体調を崩しやすいため、春と秋の彼岸には消化の良い蕎麦で胃腸を整えて疲れた体を労ろうという習慣です。
蕎麦に含まれている食物繊維・ミネラル成分に五臓六腑の汚れを清める働きがあります。
「蕎麦を食べて体を清め祖先を迎える」という言い伝えにつながります。
節目として蕎麦は欠かせないものとなっているんですね。
彼岸で食べる定番料理には、蕎麦の他には野菜・キノコ類を使った「精進揚げ」・赤飯・いなり寿司などがあるので、蕎麦と一緒にお供えするものいいですね。
雛そばとは?その由来は
江戸時代中期、庶民の間では3月3日または4日の雛祭りに節句蕎麦をお雛様にお供えをしていました。
お雛様を片付ける時にお供えしていた蕎麦を食べ、来年までの別れを告げる習慣がありました。
地方によっては菱餅の代わりに蕎麦をお供えして3月3日に雛そばを食べるなどをしていたそうです。
普通の蕎麦切りをお供えしていましたが、時代とともに赤・白・緑の三色または緑・黄色・白・黒・赤の五色蕎麦や彩り豊かなちらし雛そばなどが作られるようになりました。
また、雛祭りの定番料理となっているハマグリの潮汁に蕎麦を入れた雛そばもあるそうです。
🎎3月3日は雛祭り🎎
女の子の成長や幸福を願う行事
朝食:雛そば&桜餅 🍱
※茶蕎麦が、風味が強く出てて
一番好きかな😄#雛祭り#雛そば#桜餅 pic.twitter.com/ErD4Uix6jU— Keito (@KEITO_20131101) March 2, 2015
ちなみに赤は食紅または桜エビ、白は更科蕎麦、緑はヨモギまたは抹茶、黒は海苔または黒ごま、黄色は玉子などを使って色を出していたそうです。
蕎麦と行事食 さいごに
行事食である節分そば・彼岸そば・雛そばをまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。
月末に蕎麦を食べることで悪い縁や厄と別れて新しい月を迎えるという風習なんですね。
年越しだけでなく彼岸などの節目を迎える行事にも使われるようになり、今でも続いているのはいいことですね。
雛そばは温かい蕎麦に赤・白・緑の麩を浮かべて菱餅に見立てるなど、アイディア次第でいろんな盛り付けで雛そばを楽しめそうですね。
季節の変わり目は体調を崩しがちになります。
蕎麦には疲労回復・胃腸を整えるなどの健康効果がたくさんあるので、食べることで乗り越えられる体に嬉しい食品です。
最近では、夏の厳しい暑さを乗り切るための「夏越しそば」があるそうです。
もしかしたら、まだ知らない蕎麦の行事食があるのかもしれません。
様々な蕎麦の行事食を探して楽しんでみてはいかがでしょうか。
♪そばの歴史もこちらの記事でご覧いただければと思います。
蕎麦の歴史 江戸で蕎麦が人気だった理由?江戸蕎麦の御三家とは?