肌寒くなってくると、温かい汁物や鍋物が欲しくなってくるのではないでしょうか。
汁物といっても様々な種類がありますが、なかでも豚汁は人気があります。
いろいろな野菜もはいっていてそれだけでほっこりしてしまいます。
豚汁はいつできたのでしょう?
発祥や呼び方・けんちん汁との違いなどを紹介します。
豚汁はぶたじる? とんじる?
豚汁の呼び方は「とんじる」がほとんどですが、西日本と北海道では「ぶたじる」と呼ばれています。
しかし明治時代では、どの地域でも「ぶたじる」と呼ぶ方が一般的でした。
東京で誕生した「トンカツ」が全国に広まったことで「ぶたじる」から「とんじる」に呼び方が変わったのではないかといわれています。
豚汁は「ぶたじる」でも「とんじる」でも間違いではありません。
豚汁の定番の具材
- 豚肉
たんぱく質とビタミンB1が豊富に含まれていて、代謝アップや疲労回復に効果があります。
豚肉から出る脂が表面を覆ってくれるので、冷めにくく温かい状態を保ってくれます。
煮込むことで旨味とコクが出て、奥深い味になります。
豚バラ肉の薄切りであれば煮ても固くなりにくいのでオススメです。
- 大根
ビタミンCとカリウムが豊富に含まれていて、むくみ解消や免疫力アップに効果があります。
じっくりと煮込むことで、旨味が染み込みます。
- ニンジン
ニンジンに含まれているβカロテンが体内でビタミンAに変わることで抵抗力を高める働きがあります。
彩りが良くなるだけでなく、煮込むことで優しい甘味が出ます。
- コンニャク
食物繊維が豊富に含まれていて、腸内環境を整える働きがあります。
噛み応えがあるので、腹持ちがいいです。
- 長ネギ
ビタミンCやカリウム・ミネラルが豊富に含まれていて、風邪予防に効果があります。
白い部分は甘味が強く、煮込むことでトロミが出てきます。
緑の部分は薬味にするとピリッとした辛味と香りが出てきます。
- 里芋
水溶性食物繊維が豊富に含まれていて、血中コレステロールを下げる・血糖値の上昇を抑える働きがあります。
独特のヌメリが特徴ですが、そのままだと味が染み込まないので、塩揉み、または下茹でをしてヌメリを取ってから使いましょう。
煮込むと、ねっとりとした滑らかな食感が出てきます。
- ゴボウ
ポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれていて、抗酸化作用・整腸作用があります。
独特の風味とシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
アクがあるので水にさらしてから使うようにしましょう。
ただし、長時間水につけておくと風味と栄養が失われてしまうので、数分程度にしてください。
豚汁の発祥はいつどこで
諸説はいくつかありますが、薩摩藩で誕生したといわれています。
江戸時代では仏教の影響で、獣肉食は禁止されていました。
しかし、薩摩藩は琉球と貿易を行っていたことから海外の文化が入ってきた影響で豚やイノシシ・鹿などの肉よく食べられていたそうです。
また温暖な気候であったことから麦味噌の生産が行われていたため、豚肉や味噌を使った料理が多く豚肉を使った味噌汁も、代表料理の1つとなっています。
豚汁とけんちん汁の違いとは
豚汁とけんちん汁の違いには以下のようなことがあります。
- 豚汁は味噌味で、けんちん汁は醤油味
- 豚汁は豚肉を使っているが、けんちん汁は肉類を使っていない
- 豚汁は具材を煮込むが、けんちん汁は具材を炒めてから煮込む
けんちん汁とは
大根やニンジン・ゴボウ・里芋・コンニャク・豆腐をゴマ油で炒めてから、ダシを加えて煮込み醤油で味付けをした汁物料理です。
中国から伝わってきた卓袱料理の1つで、巻繊と書き、「けんちぇん」または「けんせん」と呼ばれています。
鎌倉時代、建長寺(けんちょうじ)の蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が作ったのが最初です。
けんちん汁という名前は、建長寺で出された汁物だったことから「建長寺汁」が訛ったものだといわれています。
簡単に作ることができ、栄養があり体が温まるため一般家庭でも作られるようになりました。
関東地方では節分に食べる汁物として有名です。
豚汁の呼び方と発祥 さいごに
豚汁には、いくつか諸説がありますが薩摩藩の文化によって誕生したという説が有力です。
「とんじる」、「ぶたじる」と呼び方に違いはありますが、どっちでも豚汁です。
見た目はけんちん汁と似ていますが、具材や味付けに違いがあるので気をつけましょう。
どちらも寒い時期には美味しい汁物なので、味わいながら温まってみてはいかがでしょうか。