童話といえば子どもに読み聞かせる読み物ですが実は残酷な描写あり、子どもには読み聞かせできないという理由で変えてあるそうです。
近年では、変更された部分を初期の状態に戻した童話をまとめた本が出版され話題になりました。
子供向けにアレンジされた児童文学が本来の姿に戻ったということでしょうか?その特徴や主な作品などを紹介します。
大人向けの童話とはどんなもの?
大人向け童話とは、子どもには読み聞かせることができない場面が含まれている物語です。
例えば、シンデレラは継母と連れ子である姉たちにいじめられながら生活をしていましたが、魔法使いに舞踏会に行けるようにして貰い王子様と出会います。
時間になって慌てて帰るときにシンデレラはガラスの靴を落としてしまいます。
王子様はガラスの靴を手がかりにシンデレラを探し出し妃として迎えるというハッピーエンドになっています。
これに対してグリム童話のシンデレラ(灰かぶり姫)では、姉たちはガラスの靴が合うように足のつま先やかかとを切り落とす、シンデレラの結婚式に姉たちの足を切り落としたなどの表現が含まれています。
大人向け童話の特徴とは
大人向け童話の特徴としてあげられるのは、子どもに話せない怖い・残酷な場面が含まれている、悲しい結末になっているものもあるということです。
1812年、グリム兄弟が出した「グリム童話集」の1巻に収録されていた物語には怖い・残酷な場面が含まれていました。
これは、子どもたちをしつけるためという目的があったといわれています。
しかし、評判が悪かったため版数を重ねるごとに表現を柔らかくしていき、子どもたちに読まれている物語へと変わっていきました。
そんな童話は必ずしもハッピーエンドではない、あるいは残酷なこともあるというのがわかるようになった大人が読むという観点から作られた?物語とでもいいますか。
元々書かれた時の形に戻ったものや、逆に大人向けにアレンジされた童話といえると思います。
大人向け童話の主な作品
私たちがよく知っている童話は元はどんなお話だったのか?
或いは大人向きになった際にどんな風に変わったのか?
主なものをあげてみます。
ヘンゼルとグレーテル
ヘンゼルとグレーテル兄妹は、母親によって森の中に捨てられます。
迷いながら森の中を歩いていると、お菓子の家を見つけ食べ始めます。
魔女に見つかってしまいます。
ヘンゼルを食べようとした魔女をグレーテルがかまどの中へ突き落として助けます。
実はその魔女は、母親だったという内容になっています。
赤ずきん
赤ずきんが病気のおばあさんのお見舞いへ行く途中に出会ったオオカミにそそのかされたため、おばあさん共々食べられてしまいます。
猟師に助けられる内容になってしましたが、ペローが書いた物語では赤ずきんはオオカミに食い散らかされ助からなかったとうい結末になっています。
白雪姫
王妃が魔法の鏡に「世界で1番キレイなのは誰?」と聞いたところ、白雪姫だと答えた。
それを聞いた王妃は猟師に白雪姫を殺すように命じますが、森の中へ置き去りにしてきました。
置き去りにされた白雪姫は7人の小人たちと暮らすようになります。
王妃は白雪姫が生きていることを知り、自分で殺すために魔女に化けて毒リンゴを食べさせました。
小人たちが白雪姫を棺に入れ悲しんでいると王子様が通りかかり貰います。
家来たちが棺を運ぶときにつまずき、落としたときにリンゴの欠片を吐き出したことで白雪姫が生き返ります。
変更前のグリム童話では、王妃は白雪姫と王子様との結婚披露宴で真っ赤に焼けた靴を履かされ死ぬまで踊らされたという内容になっています。
赤いろうそくと人魚
日本の童話作家・小川未明が1912年に書いた作品です。
人間は優しい生き物だと信じている人魚が子どもを産み落とします。
その子どもは、ろうそく屋の老夫婦に拾われ成長していきます。
その娘が描いたろうそくを神社に灯してから漁に出ると無事に帰ってこられるという評判が広まります。
その評判をききつけた香具師が娘を売るように老夫婦を説得してしまいます。
ろうそくに絵を描いていた娘は赤く塗りつぶしてしまいます。
娘が香具師に連れて行かれた夜に、ある女がろうそくを買いに来て赤いろうそくを選び帰って行きました。その直後穏やかな天気は一変して大嵐になり、いくつもの船が難破してしまいました。
その赤いろうそくは不吉の象徴とされ、老夫婦は店を畳んでしまいます。
神社には、その赤いろうそくの火が揺らめいていました。
数年後、その村は滅んでしまったという物語です。
大人向け童話とは? さいごに
ハッピーエンドになっている童話でも、発表された当時では怖い、残酷な場面が含まれていました。
その時の背景を調べてみると、そんな表現になったということが分かるのかもしれません。
童話を読み比べてみて違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。