神社や寺の入り口付近には、1組の狛犬がいることがあります。
狛犬とはなんでしょう?狛犬と言っても犬ではないような、何の像なのでしょう・・。
その狛犬が左右にいることには、どんな意味があるのでしょうか。
狛犬が左右にいる意味や表情、また狛犬の正体についてなど調べてみましたのでご紹介します。
狛犬とは?左右にある意味
狛犬は、神社や寺院の入口の両脇や本殿・本堂の正面左右向き合うような形で、置かれていて魔除けという役割があります。
左右両方とも狛犬ではなく、右側には獅子が置かれています。
右側の獅子は口が開いている阿形(あぎょう)、左側の狛犬は口が閉じている吽形(うんぎょう)になっています。
仏教では、阿形の阿(あ)は「全ての始まり」、吽形(うんぎょう)の吽(うん)は「全ての終わり」という意味があり、2つで「この世の全て」を表しているといわれています。
阿吽の由来
阿吽は、サンスクリット語ではa-hum」(アフーム)となり、この音を当て字にして誕生した言葉であるといわれています。
また日本の五十音はサンスクリット語(梵語)が由来となっていて「あ」から始まり、「ん」で終わる形になりました。
「ア」は口を開いて、「フーム」は口を閉じて出す音とされていることから、獅子が口を開くことで阿、狛犬が口を閉じることで吽を表しています。
阿吽の呼吸とは
何かを行うときに、最初から最後までお互いの息がピッタリ合うことを「阿吽の呼吸」といいます。
「阿」は口を開いて発音することから息を吐く、「吽」は口を閉じて発音することから息を吸うとされていて、この2つがピッタリと合うことで「呼吸」となります。
相対するものが1組となり、役割を果たすという意味によって誕生したといわれています。
狛犬の正体と狛犬の表情
右側の獅子はライオンですが、左側の狛犬は空想上の動物・霊獣の1つであるといわれています。
いろんな表情の狛犬たち
狛犬の表情には、いくつか種類があります。
- 江戸流れ
所沢神明神社や赤坂氷川神社などで見ることができる狛犬です。
江戸時代から大正時代に造られていて巻き毛が特徴となっています。
目は奥深く、凜々しい表情をしています。
- 出雲かまえ獅子
島根県の日御碕神社や松江神社などで見ることができる狛犬です。
目が大きく、ミミが垂れていて可愛い表情をしています。
- 出雲来待そんきょ
島根県の揖夜神社や八重垣神社などで見ることができる狛犬です。
経年劣化が激しいため、表情の原型はとどめていませんが、目が大きく一重まぶたになっています。
- 備前焼狛犬
立体的で表情豊かなものが多い特徴があります。
県指定重要文化財(工芸品)で 備前市木谷 天神社で見ることができる狛犬です。
特徴のある狛犬たち
- 江戸尾立ち
頭に宝珠や角がついていることが多い。尻を地面につけてうずくまるように座っています。
尾は立ち上がっていて、平らなもの・ふくよかなものになっていて、ついている文様には凝った彫刻が施されていることが多いです。
- はじめ狛犬
江戸時代に庶民が村社(そんしゃ)に奉納するために造られた狛犬です。
手本がなかったため、石工たちが想像して造っているため彫りが浅い・後ろ足が彫り込まれていない・台座と一体化しているものが多いのが特徴となっています。
- 招魂社系
多くの護国神社にいる狛犬です。
前足を真っ直ぐにして、胸を大きく張ったポーズが特徴となっています。
中には胸を反りすぎてひっくり返ってしまいそうな狛犬もいるそうです。
狛犬の左右の像の違いと理由
中国では獅子が邪気払いの霊獣として左右一対になっていますが、日本では右側に別の霊獣である狛犬にしています。
狛犬は日本で誕生したオリジナルの霊獣で、中国にはいません。
また、狛犬の「狛」には異国のものという意味があります。
なので、獅子は中国の霊獣、狛犬は異国の獣と区別されています。
中国思想では中国のものは上位、異国のものは下位という考えで、これを受けた日本人は中国生まれの獅子を上位に、異国生まれの狛犬は下位にしました。
現在のように左右とも狛犬になったのは、江戸時代に狛犬を見たことがない石工たちが、それぞれ思ったものを造ったことで、いつしか獅子の名前が消え狛犬だけになったそうです。
狛犬とは?左右にいるわけや正体 さいごに
左側には獅子、右側には狛犬が置かれていて、「獅子・狛犬」と呼ばれていましたが、今では獅子も含めて狛犬と呼ばれるようになりました。
左右に置くことで、この世の全てを表しています。
神社に行ったときに狛犬を観察してみてはいかがでしょうか。
♪ 神社や寺院で見かける狛犬が気になって調べてみましたが、狛犬の起源や名称も気になってこちらに書いてみました。ご覧いただければと思います。
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