少林寺拳法ときくと、中国の武道と思う人が多いのではないでしょうか。
似たものがいろいろあり解らなくなってしまいました。
少林寺拳法は実は日本発祥の武道なんですね。
中国の少林拳との違いには、どんなものがあるのでしょうか。
少林寺拳法の発祥や歴史、また日本の武道となった由来などを知りたくて調べましたのでご紹介します。
武道の少林寺拳法とは?日本の武道となった由来
少林寺拳法は北少林義和門拳第21代正統継承者である宗道臣(そうどうしん)が、1947年に香川県で考案した武道です。
宗道臣は第二次世界大戦の敗戦によって荒廃した日本と国民の心を立て直すために自分にできることを考えました。
「日本の未来を作るのは、ふさわしい教育を受けた若者たちである」という答えにたどりつき、若者たちに国家のあり方や人の道などの話を聞かせるようにしました。
しかし話だけでは若者たちは興味を示すことはなかったため宗道臣が悩んだ末、精神教育だけでなく自分が身につけた東洋の武術や武道を分かりやすくした拳技の修行をしながら精神教育も行うという身心一体の教育手段となる少林寺拳法を考案したといわれています。
技法を学ぶことで勇気や思いやり・正義感を持った人間を育て、培った強さを他人や社会に役立てさせることを目的としています。
また少林寺拳法の昇段・昇級試験では、実技だけでなく筆記試験と宿題の提出があります。
技を磨くだけでなく、しっかりと知識をつけておく必要があります。
少林寺拳法の発祥と歴史
少林寺拳法を考案した宗道臣は、1928年特務機関の仕事で中国大陸各地を訪れたときに陳良老師をはじめ各派の老師と出会い武術を学びました。
1936年、中国の崇山少林寺(すうざんしょうりんじ)を訪れたときにインド人僧侶と中国人僧侶が楽しそうに拳技を修練している壁画を見たことで、相手を敵だと思わず一緒に高め合うという少林寺拳法の原点となったそうです。
1947年、香川県多度津町の自宅を道場に改造して少林寺拳法を始めました。
少林寺拳法の特徴
少林寺拳法には6つの特徴があります。
・拳禅一如(けんぜんいちにょ)
拳は肉体、禅は精神を意味します。
身体と心は互いに影響を与える一体のものです。バランス良く身体と心を修養します。
・力愛不二(りきあいふに)
強い力を持っていても、慈悲の心や正義感がなければ誰かの役に立つ・助けることはできません。
力と愛、理知と慈悲の調和が少林寺拳法の行動規範となっています。
・守主攻従(しゅしゅこうじゅう)
少林寺拳法は暴力から身を守るためにあります。
守りの態勢を築くことで、相手の弱点を見極めることで有効な攻撃ができると考えています。
・不殺活人(ふさつかつじん)
少林寺拳法は相手を傷つけるものではなく、自分や他人を守り活かすことを目的としています。
成長の喜びを味わうために修練を行われています。
・剛柔一体(ごうじゅういったい)
少林寺拳法には突き・蹴りなどに対し受け・かわしから当身で反撃をする剛法、手首を握る・衣服を掴むなどに対し抜き・投げ・固めなどで反撃をする柔法があります。
互いの特徴を活かし組み合わせることで、効果を倍増させることが可能となります。
・組手主体(くみてしゅたい)
少林寺拳法は2人1組で修練を行うことを原則としています。
相手の行動に対し、適切かつ柔軟に対処できる技法を身につけると同時に協力して上達する喜びを分かち合うことを目的としています。
少林寺拳法と少林拳似ているけど違いは?
少林拳とは中国河南省嵩山少林寺とその周辺地域で伝えられてきた武術の総称で、最も歴史の古い武術で多くの中国武術に影響を与えたそうです。
496年、中国南北時代に北魏の皇帝によって嵩山のふもとに少林寺が建てられました。
当時の寺院は皇帝の代替わりによって壊される、世の中が乱れると真っ先に襲われていたそうです。
嵩山少林寺は軍事や政治の要所がある河南にあったため自衛のために僧侶が武術を身につけたことが少林拳の始まりといわれています。
少林寺拳法と少林拳の違い
少林寺拳法は自分の身を守ってから相手を攻撃しますが、少林拳は相手の急所を攻撃して戦意喪失させ連続技などで倒します。
少林寺拳法は護身のため、少林拳は強くなるためと目的に違いがあります。
少林寺拳法 さいごに
少林寺拳法は武術を身につけるだけでなく、人としての成長も大切にしています。
目的や体力に合わせて自分のペースで学ぶことができます。
少林寺拳法は専用の道場や公民館などで修練が行われているので、興味があれば見学に行ってみてはいかがでしょうか。