武術には「日本の伝統的な徒手や鈍器・刃物・火器などの武具の使用方法、水泳や乗馬など戦いに関する技術を体系化したものの総称」
武士道には「日本の武士階級が持った特有の倫理観・思想」という定義があります。
では、武道にはどんな定義があるのでしょうか。
武道の定義や歴史、武士道との違いなど調べたものをまとめてみました。
武道の定義とは?
武道には
「武士道の伝統に由来する日本で体系化された武技の修練による心技一如の運動文化で、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道を修練して心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、国家、社会の平和と繁栄に寄与する人間形成の道である」
という定義がありました(^^;)
なんか難しいです。
日本の武道の歴史
日本の武道の歴史をみると解るかもしれません。
武道が確立されたのは江戸時代で、それまでは人を殺すための武術であり、また立身出世のための武芸とされていました。
戦国時代後期になると集団戦術の発達や鉄砲の登場によって、個人の技量によって戦の行く末を決定づけることが、ほとんどなくなってしまいました。
江戸時代で戦がなくなると武術は思想や文化と融合し、武士階級における教養の1つとして確立しました。
明治時代となり武士社会が崩壊すると、武道は日本の民族文化として広がっていきました。
武道と武士道の違いってなに?
武士道とは封建社会における武士階級の倫理や道徳規範、価値基準の根本をなす体系化された思想一般のことで、広い意味では日本独自の常識的な考え方となります。
5つの教え
武士道には、主に義・勇・仁・礼・誠の5つの教えがあります。
- 義
武士の規範の中でも最も厳しく大切なものとされています。
道理を通して自分で決断する心で、人が進むべき道は真っ直ぐで狭いものであると定義されています。
- 勇
「勇気」を意味していています。
孔子は「義を見てさぜるは勇なきなり」と言っていて、義を感じたのに行動しないのは勇気がないのと同じ、義を感じたのなら勇気を出して行動をおこすべきであるという意味があります。
余裕を持って状況を判断して行動することといわれています。
- 仁
仁とは「人の上に立つための徳」をいいます。
孔子や孟子は「民を治める者が持たねばならない1番必要な条件は仁である」と説いています。
武士には詩歌を詠むことを推奨されていたそうです。
それは優しい感情を内面に蓄えることで、苦しんでいる人や弱い者に対しての仁を忘れないようにしていたそうです。
- 礼
礼儀のことを指していて、「他人の喜怒哀楽に共感し、優美な感受性として表れるもの」とされています。
他人に対する思いやりの表現と言われているそうです。
- 誠
嘘をつかない・ごまかさないことです。
誠がなければ、礼は意味をなくしてしまいます。
伊達政宗は「度を超えた礼は、まやかしである」と言っています。
武士の身分は商人や農民よりも高かったため、より高い誠が求められていました。
「武士の一言」という言葉がありますが、これは断言した一言は真実であることを保証するものだったので約束事に証文が使われることがありませんでした。
武士は名誉を大切にしていたので、嘘をついたために命で償うことがあったそうです。
武道と武士道との違い
武道は柔道・剣道・弓道・相撲・空手道・合気道・少林寺拳法・なぎなた・銃剣道の稽古を通して心技体を鍛える、人格を磨く、道徳心を高める、礼節を重んじる態度を養うなどで人間形成を行うものです。
それに対し、武士道は武士階級の倫理や道徳規範・価値基準を体系化したものです。
武道は技術を身につけながら人格などを磨いていきます。
が、武士道は武士が守らなければいけない規律であるとの違いがあります。
武道の定義とは さいごに
柔道や剣道・弓道・相撲・空手道などの稽古を通して、一緒に礼節や人格を磨くことができることが武道の定義といわれています。
武士道も同じような部分はありますが、稽古で技術を磨くことがないのが武道との違いとなるので覚えておくといいですよ。
♪日本の武道はスポーツの一つと思われがちですが、その違いや種類も気になるという方はこちらをご覧いただければと思います。
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