新型コロナウイルスの流行によって検温が当たり前になってきました。
体温で症状の判断をすることがありますが、体温で病気であるという判断をする基準にはどんなものがあるのでしょうか。
体温とはどんなものなのか、知っているようでよく解っていないことのひとつです。(^^;)
体温計の歴史や正確さなどについて調べてみました。
体温ってなに?なぜ測るの
コロナ禍の今、入店時などにやっている検温は「発熱があるかどうかを基準に、新型コロナウイルスに感染したかどうかを判断するため」のようですが・・・どうなんでしょう?
体温とは体の温度のことで人間の場合は36~37度が一般的といわれています。
体温計などでおなじみのテルモによると「日本人の7割くらいは、体温が36.6℃から37.2℃の間。
「平熱」にも個人差があって当然なのです。
医学的に正しい測り方をすれば、37℃はむしろ平均的な平熱の範囲内」とあります。
体の温度は場所によって違いがあり、手足の末梢や顔の表面は季節や環境による影響を受けやすいため安定していません。
一方、体内の温度は脳や心臓など大切な臓器の働きを保つために安定しているそうです。
人間は体温を一定に保てないと生きていくことはできないので、熱の産生と放散によって体温が一定になるように調節しています。
体温が一定温度より高くなる、または低くなるということは何らかの原因で熱の産生と放散のバランスが崩れている状態になっています。
体温を測るのは、体温によって身体の異常を早期に見つけることができるからなんですね。
体温計の歴史 いつできたの?
体温計はイタリアの医師であり生理学者のサントーリオ・サントーリオが1609年に(1612年であるという説もある)考案したものが最初であるといわれています。
同僚のガリレオ・ガリレイが発明した気体の熱膨張を応用した温度計に触発され、蛇行するガラス管の一方を球型にして、もう一方を水の入った容器に入れたという単純な構造になっていました。
ガラス球を口に含むと内部の空気が膨張し管内の推移を押し下げる度合いを目盛りで読むことで体温を測るという口腔体温計でした。
1600年代終わり頃から1700年代半ば頃にかけて、オランダの医師であり植物学者のヘルマン・ブールハーブェは健康な人の体温と病人の体温を比較・病気の経過を観察するのに体温測定は有効であることを発見しました。
1858年にはドイツの医学者であるカール・ウンデルリッヒが病気によって熱のタイプが違うことを発見したことで病気の診断には体温測定が欠かせないものであることが確立されました。
1860年で使われていた体温計は長く、体温を測るには20分もかかっていました。
1866年イギリスの内科医であるトーマス・クリフォード・アルバットが軸を短くして、使いやすい形にしたガラス製の小型懐中体温計を作りました。
同年にはドイツのC.エレールが水銀体温計を考案したそうです。
日本に体温計が伝わったのは1867年で欧州に留学した医学者たちが小型懐中体温計を持ち帰ったのが始まりといわれています。
1882年山口県で山崎豊太郎が日本初となる国産体温計が作られました。
その後理学博士である鶴田賢次が正確で丈夫な三角型体温計を発明したことで、一般家庭にも普及するようになりました。
1970年頃アメリカ陸軍医のジョージ・パーキンスが電子体温計を考案し、アイオワ州の器械店で販売を始めました。
壊れにくく測った体温がデジタル表示で見やすいため急速に普及し、現在では体温計の主流となっています。
体温計の正確さを調べてみたら
一般的に使われている体温計は脇の下に先端部分を一定時間接触させて体温を測ります。
5~10分間と時間をかけて測る実測式体温計と体温上昇を感知して10~20秒間で予測値を算出する予測式体温計の2種類があります。
正しい方法で検温すれば正確な数値が出ます。
正しい体温計の使い方は、体温計の先端部分を脇の中央に挟み体の軸に対して約30度の角度を保ったまま、しっかりと脇を締め安静な状態で行います。
肌に触れず、おでこ・こめかみにかざして検温できる非接触体温計は衛生的でサッと体温を測ることができますが、寒暖の差に体温が馴染まないうちに測ると数値にばらつきが出てしまいます。
鼓膜近くの温度を赤外線センサーで測る耳式体温計は、耳の穴に入れるため外気の影響を受けにくく検温時間が1秒と短いので、赤ちゃんや幼児の検温に適しています。
しかし体温計の感温部を鼓膜方向に向けないと正しい体温が測れません。また耳の中が汚れていると数値にばらつきが出てしまいます。
体温はなぜ測る 体温計の歴史と正確さ さいごに
一定の体温を保つことで体の機能が正常に働き健康でいることができます。
体温計で測ることで現時点での健康状態をチェックすることができるので、正しい方法で体温を測るようにしましょう。
こうして調べたことをまとめてみると、今まさにコロナ禍でさまざまな場所でやっている検温には疑問が出てきます。
実際にすごい高熱の人に対しては有効でも、微熱あるいは高めの平熱の方では誤差で判断のつきにくいこともあります。
使われているのは、非接触型体温計がほとんどですが、おでこにピッ、腕にピッで「はい〇〇度です」といわれても家を出る時は平熱だったのにということもあります。
外気やそこまでの運動や動きにも影響されます。
お店や施設によっては、37度以上は入店禁止というのもあるようです。
平熱が37度の人はどこにも行けない?
そして検温されている側は、もし、37度以上だったらコロナ認定されたような嫌な気持ちになりますね。
無症状や熱の出ないコロナ感染者もいます。
この検温に拘りすぎる無意味さを最近は実感しています。
♪体温計をこれから買う場合の目安や正しい測り方はこちらの記事でご覧いただければと思います。