鉛筆やボールペン・定規やハサミなど書くことに必要な道具を文房具と呼んでいますが、文房具ということばにはどんな意味があるのでしょうか。
普段文房具と言ったり文具と言ったりして、同じ意味だと思っていましたが、どうも元は明確なちがいがあるようです。
文房具の語源や意味そして文具との違いなど気になったことを調べてみました。
文房具と文具は同じ?違いとは
文具は文房具を省略した言葉だと思う人が多いそうですが、それぞれ違う意味があるようです。
文房具は筆・墨・硯・紙など書斎におく道具、文具は文房具以外の道具のことです。
文房具の文房とは、中国では古くから書斎という意味があります。
書斎は読書や書き物をするための部屋で、ここで使う筆・墨・硯・紙を備えておく道具という意味で文房具と呼ばれるようになったそうです。
文具は中国・明の時代に書かれた「長物志」という書物に、書斎に欠かすことのできない道具の項目として書かれていたことが始まりであるといわれています。
文房具が書斎に備えておく筆・墨・硯・紙の4つを指すのに対し、文具はそれ以外の道具を指します。
現在では文房具と文具は同じ意味で辞書や辞典に掲載されています。
文房具とは?文房具の定義
文房具とは書斎に必要な道具のことを指していましたが、現在では鉛筆やボールペン・ノート・定規・ハサミなど、書くことに必要な道具であるとされています。
また文具は勉強や事務作業に使う道具の総称となっています。
エレクトロニクス技術を使った文房具はデジタル文房具を呼ばれ、仕事や勉強などの作業効率が上がる効果があるため活用されています。
通信機能はありませんが、パソコンやスマートフォンとのデータ共有をすることができ、手頃な値段で購入できる製品が多いです。
主な製品には、電子辞書や電子手帳・電子書籍リーダー・電子メモ帳・電子ノートなどがあります。
文房具の種類
文房具は大きく分けて10種類になります。
- 筆記用具
鉛筆やボールペン・万年筆など
- 筆記関連用品
インキや字消し・筆入れなど
- 紙製品
ノートや帳簿・便せん・封筒など
- 画材用品
絵の具や木炭・色鉛筆・画用紙・キャンパスなど
- 書道用品
筆や用紙・硯・墨汁・文鎮など
- デザイン用品
デザイン用筆や製図シャープペンシル・マーカーパッド・インクジェットキャンパスなど
- 製図測定用品
平行定規や勾配定規・製図テンプレート・ホルダー消しゴム・ツイストノートなど
- 整理用品
糊や接着剤・画鋲・テープ類・ファイルなど
- 印字用品
スタンプ台やチェックライター・ナンバリングなど
- 計算用品
そろばんや電卓など
文房具のもつ意味は?語源はなにから
文房具は5~6世紀頃の中国・南北時代に誕生した言葉で、書斎に置いておく道具という意味があります。
中国では書斎のことを文房と呼んでいて、読書や書き物をしていました。
この頃は筆や硯・墨・紙・筆を洗う容器の筆洗(ひっせん)・筆をしまっておく筒の筆筒(ふでづつ)・書き終えたまたは洗った筆をかけておく台の筆架(ひっか)・硯に使う水を入れておく容器の水滴・墨を置く台の墨台(ぼくだい)・紙が動かないように抑える文鎮(ぶんちん)・書物に印を押すための印材や印泥(いんでい)・竹簡や木簡などに書いた文字を削るための刀子(とうす)・穴を開ける錐(きり)が文房具と呼ばれていました。
また文房に置いていた琴や屏風・書画・陶器などの美術品も文房具と呼んでいたそうです。
宋の時代以降になると、筆・墨・硯・紙の4つは文房四宝、または四友(しゆう)と呼ばれ大切に扱われていました。
当時の文房具は実用品より観賞用としての意味合いが強く、筆・墨・硯・紙の中でも硯が重宝されていました。
硯は使っても半永久的になくなることがなく、骨董品としての価値が高かったという理由があり、墨・紙・筆の順に価値があるそうです。
ちなみに筆は観賞用というより、実用性が高かったことから骨董品としての価値は低かったそうです。
文房具と文具 さいごに
今では文房具と文具は同じものでありますが、文房具は書斎で使う道具のことでした。
書斎は読書や書き物をする特別な部屋とされているため、置く道具にもこだわり琴や屏風・書画・陶器も文房具と呼んでいたそうです。
文房具と文具は書くことに必要な道具として一つにまとめられていますが、昔の文房具とはどんなものだったかを今一度確認してみてはいかがでしょうか。
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