草履や下駄・雪駄などには履物と足を固定するための鼻緒がついています。
鼻緒って下駄や草履の真ん中の穴についています。
なぜでしょう?
そしてこの鼻緒はいつから使われるようになったのでしょうか。
ちょっと気になる鼻緒の歴史や起源、また現在ではいろいろな素材が使われています。
そのの種類などについて調べてみました。
鼻緒の穴の位置はなぜ真ん中
下駄や草履などの履物は足の指を鼻緒に引っかけて歩きますね。
足を前に出す時は履物自体が浮き上がります。
もし鼻緒の位置が真ん中でなく、片方に寄っていると重心が偏り反対側の足にぶつかってしまいます。
鼻緒が真ん中にあることでバランス良く重心を取ることができて、スムーズに歩くことができます。
また下駄にある歯は毎日歩いていると減り方に偏りが出てしまうので、均等に歯が減っていくように時々左右を入れ替えて履くのが正しい履き方だそうです。
そのためにもどちらを履いてもいいように鼻緒の穴の位置は真ん中にあるんですね。
鼻緒の歴史 鼻緒が誕生した理由と起源は?
鼻緒が誕生したのは、弥生時代と云われています。
弥生時代後期に水田で作業するために使われていた田下駄という履物が、日本で最初の鼻緒の付いたものだといわれています。
田下駄に鼻緒がつけることで足に力を入れることができ、田んぼに足を取られることなく作業をすることができるようになったそうです。
鼻緒の素材の種類と使う物による違い
鼻緒は直接足の指に当たるので、素材が重要となってきます。
どんな素材が使われているのでしょう?
鼻緒の素材
ハイミロン
起毛素材の化学繊維で柔らかく高級感があります。
最初は硬さがありますが、2~3回ほど散歩すると馴染んでくるようです。
サロン
サロンビロードと呼ばれている起毛素材の化学繊維です。
ハイミロンと同じく硬さはありますが、履き込むことで段々と柔らかくなります。
毛も長いので、しっかりと足を支えてくれます。
罠(わな)
ループ状に織られた生地で、鼻緒の裏地として良く使われています。
生地自体が柔らかく、滑らかな足当たりがあるので素足にピッタリな素材です。
本天(ほんてん)
裏地の代表的な素材でビロードとも呼ばれていて、履き心地はとても良いといわれています。
昔は混じりけのない絹の正絹(しょうけん)が主流となっていましたがナイロン素材より耐久性が弱いため、現在ではナイロン、またはナイロンと絹を組み合わせたものが主流となっています。
革
牛や鹿など動物の皮のことです。昔から使われていますが、布と比べると固いので足当たりが悪くなってしまいます。
履き慣れると革ならではの良さを感じることができますね。
代表的な鼻緒の種類
鼻緒の種類は豊富にあって、どれがいいのか迷ってしまうのではないでしょうか。
代表的な鼻緒の種類をいくつか紹介します。
縞鼻緒(しまはなお)
昔から愛されている柄で、豊富な種類があります。
見た目がスッキリしていることが特徴で江戸っ子がよく使っていたそうです。
会津木綿鼻緒(あいずもめんはなお)
福島県の伝統工芸品である会津木綿を使った鼻緒で、夏は涼しく冬は暖かく身につけることができます。
履き込むことで生地が柔らかくなり、履き心地が良くなります。
遠州棉紬鼻緒(えんしゅうめんつむぎはなお)
静岡県はママチャリに伝わる織物を使った鼻緒です。
遠州棉紬は明るい淡色が多いので、夏の普段履きや浴衣に合わせやすいですよ。
亀田縞鼻緒(かめだじまはなお)
新潟県で農作業をするために作られた泥や水に強い生地を使った鼻緒です。
シンプルな縞模様なので台や着物に合わせやすいですよ。
結城紬鼻緒(ゆうきつむぎはなお)
茨城県・栃木県で作られている絹織物を使った鼻緒です。
奈良時代から作られている高級織物で、国の重要無形文化財に指定されています。
柔らかくて、空気をたくさん含んでいる温かい素材なので履き心地がいいそうです。
花柄鼻緒(はながらはなお)
花を模様に使った鼻緒です。
女性物と思われがちですが、男性物もあります。
桜・菊を使った物が多いそうです。
幾何学模様鼻緒(きかがくもようはなお)
日本の伝統的な幾何学模様を使った鼻緒です。
幾何学模様とは三角や丸などの図形を一定間隔で折り重なるなどで組み合わさっている模様のことです。
シンプルなデザインが多いので着物や台に合わせやすいです。
鼻緒の位置や歴史 さいごに
鼻緒は田んぼで作業しやすいように足を支えるために使われるようになりました。
鼻緒が中心にあるのはバランスを取るだけでなく、下駄の左右を入れ替えて歯を均等になるようにしていたのは、生活から生まれた知恵とは凄いですね。
下駄や草履に欠かせない鼻緒には、様々な種類があるので、着物や台に合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか。
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