漬物といえば「ぬか漬け」が有名ですが、塩や麹・酒粕などでも作ることができる食べ物です。
日本だけでなく、海外にはピクルスやザワークラウト・キムチなど様々な漬物があります。
日本そして世界で食べられている漬物はいつどこで誕生したのでしょうか。漬物の歴史や種類などをまとめてみましたのでご紹介します。
漬物とは?
漬物とは野菜や肉・魚などの食材を、塩や麹・味噌・米ぬか・酒粕などに漬け込んだ食べ物で、大きく分けて発酵漬物と無発酵漬物の2つがあります。
発酵漬物とは、塩分を含む漬け床に食材を漬け込むことで、食材から出てくる水分の中で乳酸菌が育ち働くことで完成されます。
一方、無発酵漬物とは塩分濃度が高い、または酸によって微生物が育たない環境で食材を漬けたもので、梅干しや甘酢漬けなどがあります。
漬け床に味噌や酒粕などの発酵食品を使った場合は、漬けた食材を直接発酵させるわけではないので、無発酵漬物となります。
漬物の発祥と歴史
記録によると、6世紀中頃の中国で野菜を塩漬けにする方法がありました。
これが漬物の発祥であるといわれています。
日本の漬物は、奈良時代に瓜や青菜の塩漬けにしていたのが始まりだそうです。
その後、大陸からの文化が伝わり、酒や味噌・醤油などの調味料が作られるようになったことで、様々な漬け方が登場しました。
奈良時代後半頃までは、漬物は僧侶や貴族など一部の人たちしか食べることができませんでした。
庶民が漬物を食べられるようになったのは、平安時代になってからといわれています。
鎌倉から室町時代になると、茶の湯や香りを楽しむ聞香(もんこう)のが流行ったことで漬物が「香の物」として食べられるようになりました。
香の物は、茶の湯では口直し、聞香では鼻の疲れを癒すために使われていたそうです。
江戸時代になると商人によって全国から様々な食材が集まるようになり、漬け方や使う調味料に工夫されるようになりました。
米ぬかと塩で作った漬け床に野菜を漬けた「ぬか漬け」が庶民の間に広まって行きました。
また大根を天日干しにしてから、ぬかと塩で漬ける「沢庵漬け」も誕生しました。
2013年に、和食がユネスコ無形文化遺産「世界遺産」に登録されたことで漬物も注目されるようになりました。
漬物の種類はこんなにあった
- 梅干し
梅の実を塩漬けにしてから天日干しにしてから、しその葉と一緒に漬け込んであります。
酸味が強いという特徴があり、おにぎりの具材だけでなく、魚料理の材料として使われています。
- ぬか漬け
米ぬか・塩・水・唐辛子などで作ったぬか床に食材を漬け込んだものです。
深い旨味とほどよい酸味が楽しめます。
- 浅漬け
茄子やキュウリなどの野菜を短時間で調味液に漬け込んだものです。
即席漬けや一夜漬けとも呼ばれていて、短時間で漬けてあるので野菜本来の味を楽しむことができます。
- 粕漬け
酒造りでできた酒粕・みりん粕に食材を漬け込んだものです。
代表的なものに、奈良漬けやワサビ漬けがあり、ほどよい甘味と塩気が楽しめます。
- 麹漬け
麹に野菜を漬け込んだものです。
白菜や茄子・カブ・大根などの野菜を1度塩漬けにしてから麹で漬けています。
- 味噌漬け
肉や魚・野菜などの食材を味噌で漬け込んだものです。
味噌の風味が食材にしっかりと移すことができます。
- 醤油漬け
下処理をした野菜を醤油で漬け込んだものです。
福新漬けや松前漬け・つぼ漬けなどがあります。
- 酢漬け
食材を酢で漬け込んだものです。
らっきょう漬けや千枚漬けなどがあり、海外ではコショウや唐辛子などの香辛料と野菜を漬け込んだピクルスがあります。
- からし漬け
野菜を塩漬けにしてから、からし・酒・麹などを混ぜ合わせた漬け床に漬け込んだものです。
良く使われる野菜には、茄子や大根・キュウリなどがあります。
【主な地域の漬物】
- ニンニク漬け
ニンニク生産量日本一の青森県の漬物です。
ニンニクを丸ごと酢に漬けてから、醤油に漬け込みます。
- てっぽう漬け
千葉県の漬物で、瓜の中にしその葉で巻いた唐辛子を詰め込んであります。
瓜に唐辛子を詰める様子が鉄砲に弾を詰め込むのに似ていることから、この名がつきました。
- 泉州水なす漬け
大阪府南部・泉州地域の伝統野菜である茄子を漬け込んだものです。
泉州なすは皮が薄く、果肉に甘味があるという特徴があります。
漬物とは?発祥と歴史や種類 さいごに
漬物は、ぬか床だけでなく、塩や醤油・酢などの調味料を使って作ることができます。
調味料の使い方によっては野菜だけでなく、肉や魚などにも使えるので漬物作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。